第183国会 2013(H.25)年3月26日「国土交通委員会」

Q1 被災者支援・高速道路無料化措置について

▼大河原:

新しい政権の大臣所信に沿って質疑させていただきますが、まず冒頭に、大臣にお礼を申し上げたいということが一つございます。

それは、先週発表された原子力災害による被災者支援施策パッケージで、原発事故の避難者への高速道路無料化措置が発表されました。本来ならば一緒に住んでいる方たちが不条理にもばらばらに暮らさざるを得なくなっていて、経済的、精神的な負担は大きなものがあります。パッケージ自身は十分とは思えませんが、この高速道路無償化については、大臣のご英断だと思っております。

ただ、避難者の対象が母子等となっており、「等」がどこまでの範囲なのか不確定で、例えば妊婦さんが入るか、父子家庭、おじいちゃん、おばあちゃんたちは含むのか。経済的に苦しい方はまだまだおられますので、余り限定しはいけないと思っております。

また、今回の対象の限定が前例にならないということを大臣の口からご答弁をいただいておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

△梶山弘志副大臣:

私の方から経緯も含めて少しお話をさせていただきます。

現在、子ども・被災者支援法、この法律におきまして、子ども及び妊婦に対して特別の配慮が必要という趣旨が記されているわけでありますが、この趣旨を踏まえて取りまとめました原子力災害被災者支援施策パッケージの施策の一環として、自主避難者に対する高速道路の無料措置について、実施に向けた準備、検討を行っているところであります。

本件措置の対象者は、避難により分断された家族の再会を支援し、未来を担う子どもたちの健やかな成長を促進するため、母子避難者等とする予定としております。委員ご指摘のとおりであります。妊婦の取扱いを含む対象者の詳細については、自主避難者に対する施策全体のバランス等の観点から、復興庁とも協議をしながら今後決定をしたいと思っております。

▼大河原:

私は、大臣のご英断と申し上げましたので、大臣からご答弁をいただきたかったのですが。

このパッケージが発表されたときに、根本復興担当大臣が、「支援法の目的・趣旨をしっかり読み込んで、それに対して具体的な施策を総合的に取りまとめる。取りまとめたものが、今回の政策パッケージです。」「子ども被災者支援法による必要な施策については、この対策で盛り込んだと考えております。」とご発言になっています。

私たちは議員提案でこの法案を超党派で進めようとやってきましたが、実際に避難者の方たちのご意見を直接聞いていらっしゃいません。そしてまた、今回の道路のことも、対象「等」の説明をしてくださいとお願いをしても、まだ固まっていないと。

まだ不確定なことを先週急いで発表されたようですが、余り急がないでいただきたい。急げという言葉はありますが、中身が決まっていないのに発表をすることのマイナス効果もお考えをいただきたいと思います。

Q2 ガソリン高騰とトリガー条項凍結の解除について

▼大河原:

地方の足は何といっても車です。今、アベノミクスで円安となり、燃油が高騰し、ガソリン代も既に大分上がっており、これはアベノミクスのマイナスの面だと思います。

160円以上ガソリンの小売価格が3か月続いたときは課税を中止するというトリガー条項が3・11以降凍結されています。

国土交通所管関係では、燃油の高騰は非常に大きなマイナス影響があります。大臣に、凍結を解除する方向性を持っているというご発言をいただいて、みんなを安心させていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

△太田昭宏大臣:

高速のこともそうだというふうに私は思うのですが、現場に行って、本当にどうなることやらということが随分言われて、私、最初、3・11の後に例えば体育館の避難所に行ったりして、そうすると、まだ仮設住宅もできていないんです、できていないんですけれども2年で出なくちゃいけないというようなことをご心配なさるというようなことで、心配というのはいっぱい、どうなることだということで広がっていきます。

私は、そういうことで、基本的な方向性はこうですよということを、3月に至って、強制的に避難をしたところというのは3月で高速料金は切れるということになりますから、1年ということで思い切ってこれはやらせていただき、そして子ども・被災者支援法に基づいての、これもなかなか、どの地域というようなことの定め方が復興庁でいろいろ検討していただいているのですが難しかったものですから、ずばっともう、ちょっとやらせていただくということにいたしました。

よくその辺も、被災者の心に寄り添ってということは私本当にしなくちゃいけないと思っておりますので、先生からのご指摘もいただいて、その辺を復興庁とももう一度話し合っていきたいというように思っているところです。

油が高くなっているということは、私、党の代表をやっていたころにも随分ありまして、ここでいろんな措置をとらせていただきました。トリガー条項というのは、これは一旦切れているわけでありますが、トリガー条項ではないんじゃないかと私は思っていますけれども、燃油が高騰したというようなことを含めて、どういうふうにこの人たちが困らないようにしていくかという措置については政府内で常に検討していかなくてはいけない課題だと思っておりますので、様々な意味で検討をさせていただきたいと思っています。

▼大河原:

2010年の税制改正でガソリン価格高騰時のためにこのトリガー条項が創設されたわけで、それは3・11ということで凍結されていますので、子ども・被災者の話から出ましたけれども、この影響は日本全土に及んでおります。そういう意味では、国土交通省は、物流もありますから、そういう意味ですごく責任のある省庁でございますので、そこは先頭に立ってこのトリガー条項凍結解除に向けて働きかけをしていただきたいと思います。

これは法律を改正することになると思いますけれども、元に戻すということについては。検討するといっても、そんなにたくさん検討要るものではないですね。いかがでしょうか。

△太田昭宏大臣:

気合で答えるという場面もあろうかと思いますが、私はトリガー条項ではないんじゃないかということを申し上げたんですが、いずれにしても、様々な燃油高騰というようなことに対して政府としてしっかり、特に被災地ですから、そうしたことについて配慮をするということを検討させていただきたいと思って先ほどの答弁をしたところでございます。

▼大河原:

これ日本全体にかかわることですので、改めて要請に行かせていただきます。

Q3 公共事業のあり方について

▼大河原:

 公共事業のあり方について、基本姿勢を伺います。

例えばダムの場合、長い時間と膨大なお金を使い、当該地の方たちの人生を変える選択をいただいて進めるのですから、本当に慎重に納得のいくものを造らせなければならないと思いますが、小さく産んで大きく育つ(後になってどんどん予算が膨らむ事業)というマイナスイメージが公共事業にはあると思います。

大臣は、このマイナスイメージは何が原因だと思われますか。また、あるべき姿をどのようにお考えでしょうか。

 △太田昭宏大臣:

政治家になりましてから20年来、私は、無駄な公共事業は削る、必要な公共事業はやる、やるかやらないか分からないまま時間が経過するというものについては結論を出す。15年ぐらい前だと思いますが、国会でもそうしたことを述べて、国交省の方では、記憶では272事業に結論を出していわゆる削るということにして、2兆8000億円節約ができたということの主導的役割を果たしてきたこともございました。

私は、公共事業そのものが悪ということに対しましては、こうしたキャンペーンは余りよろしくないという基本的な考えを持っておりますが、特に最近は、昭和30年ごろは、日本は産業基盤整備を急がなくてはならないという公共事業を進めたと思います。50年ごろは、ある意味では生活インフラ整備ということで、住宅や下水道、そうしたことにかなり着目して、大河原先生もお住まいになっていらっしゃると思いますが、私も当時住んでいた高島平団地とかあるいは光が丘とか、そういうところは大体50年前後ということで整備を相当してきた。

ところが、3・11以降、日本の一つは大地震がこれから予測される、もう一つは高度成長時代の造った構造物が劣化をし始めてきている。これらを考えると、この防災・減災、メンテナンス、そして老朽化対策、耐震化、こういうものが物すごく必要だという、その備えとそして修理ということが必要なときが来たというふうに思っています。私は、正直言って、大変危機感を持っています。

そうしたことから、3つの大きな流れがあったと思いますが、今は、まさに今年はメンテナンス元年ということで対応をしていかなくてはいけないというふうに私は思っておりまして、公共事業というものに対する考え方、日本は脆弱な国土であるという上にこれだけのものを造ってきた、そして経済が発展した、しかし、今それが劣化をしたり、あるいは世界で最も危険な、ある意味では大地震の上に、トラフの上に日本があるということを相当考えていくという、そこをやっていかなくてはいけないと思っています。

今までの公共事業は無駄という中には、誰が見ても無駄だねというような観点があったというふうに思いますので、私は、命を守る公共事業、そして住民が納得できるという公共事業というものは、基本的にこれからの公共事業を考える上で基軸にしていかなくてはならない考え方であると、こういう観点でこれから進めていきたいというふうに思っているところです。

 Q4 古いインフラ点検と新規事業の割合について

▼大河原:

確かにインフラの老朽化もあり、公共事業の考え方を変えなければならないところに来ていると、私も大臣と同じ思いでございます。

だからこそ、莫大なお金がメンテナンス、改修、補修に掛かるので、昔計画されたものを止める、見直しをするルール、そのためのデータをきちんと出させることが必要です。参議院の決算委員会からの要求で出された会計検査院の報告で指摘されている事項については細心の検討をしていただきたいと付け加えさせていただきます。

防災・減災のための古くなったインフラ点検、補強の事業を充実させるというメンテナンス元年のお話ですが、24年度の補正も含めて25年度予算とで15か月予算での公共事業のうち、古いインフラ点検と新規のものの割合はどうなっているでしょうか。予算の額でお答えいただいて結構です。

△久保成人政府参考人:

まず、平成24年度補正予算ですけれども、国交省の公共事業関係費約1.8兆円で、ほとんどが継続の事業ですけれども、このうち既存インフラの点検、補強を始めとした老朽化対策また防災・減災対策等は約1.1兆円であります。それ以外の項目の公共事業関係費は約0.7兆円となっております。割合は、1.8兆円分の1.1兆円ですので約63%です。

また、平成25年度当初予算での国交省の公共事業関係費約4.5兆円のうち、老朽化対策、防災・減災対策等は約2.1兆円です。それ以外の項目の公共事業関係費は約2.4兆円となっております。割合でいけば約47.1%です。

 Q5 不要の建造物を「取り壊す」公共事業という発想について

▼大河原:

新しい事業を極力なくし、必要なものは造ればいいので、今あるものを長寿命化する計画もしっかり選択と集中で立てていただきたい。

また、防災・減災のためにも古くなったインフラを早く手当てしなければということがあります。人口も減少しているということでいえば、必要のなくなるものも出てくるはずで、例えば、公共事業費で(必要のないものを)壊すということで、地域の建設業の皆さんに仕事が回っていくこともあると思います。

補修ではなくて壊して自然に戻すとか、そういう発想は国交省にはあるんでしょうか、ないとすれば是非検討していただきたいんですが、いかがでしょう。

 △鶴保庸介副大臣:

委員ご指摘のとおり、老朽化したインフラに対してこれから撤去という判断もあり得るものだと考えております。

ただ、前提として、これらの維持管理の責任者は、例えば道路では9割超が自治体が管理をするなど大部分の施設については地方自治体が維持管理の責めを負っておるものが多いということでございます。また、安全性を確保しながら、これを、施設をより長もちさせるための維持補修が基本と考えてきたこれまでの経緯からしますと、委員の考え方を全く否定するものではございませんが、各々の自治体が地域づくり、まちづくりと一体となって考えていくということがまず前提となろうか思います。

今後、これらの地方公共団体に対して、より効率的な維持管理の技術開発や提供、マニュアルの提供や研修などを実施をしながら、より一体となって、これからこれら老朽化インフラの補修等々の進め方を考えていきたいと考えております。

▼大河原:

管理の主体は自治体で、既にもうこういう施設は要らないということを市民とともに判断をするという自治体が増えてきております。そういう発想を国も持つべきじゃないかという意味でお尋ねしました。

建設国債は60年で償還するということになっています。60年は耐用年数の平均ですから、本当に60年たったときにそれが次の世代に使ってもらえるようなものとして残っているのかどうか、60年たたないうちにも取り壊さなければならないもの、そういったものが大分あるのではないかと思います。

ですから、ここは抽象的な議論ではなくて、実際に戦後のインフラがどのくらいにどんな形で残っているのか、こういったこともしっかり調査して、今後の対応に生かすべきだというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

△梶山弘志副大臣:

建設後60年以上たったもの、要するに、昭和20年代後半に竣工したり完成をしたものということでありますけれども、例えば建設年度を把握しているものでは道路橋では約2万橋、道路トンネルで約1000本、河川管理施設で600施設、下水道管渠約2,600キロメートル、港湾施設約1,200施設となっております。この中には長崎市にある出島橋や北海道の小樽市にある小樽港の北防波堤など建設後100年経過をしたものもありまして、現在もその機能を果たしているものがありますけれども、委員ご指摘のとおり、全体の把握ということで1年を掛けてデータベース化をしていく作業を始めるところでもあります。

今、中央自動車道の笹子トンネルの事故を踏まえて施設の安全の総点検、補修など対策に着手をしたところでありまして、施設の状況把握を適切に、データベース化も含めて、進めてまいりたいと思っております。

さらに、メンテナンス費用の将来推計ということでありますが、データベースができて、そして、どういう工法でいつまでにということも含めて検討していかなければならないと思っておりますけれども、現在、社会資本整備審議会において取り組んでいるところでありまして、国民に対してしっかりと説明ができるように検討を進めなければならない。我々の説明責任の重大性というものを感じながら今進めているところであります。

Q6 高速道路高架下活用における施設などの建設とその安全性について

▼大河原:

笹子トンネルの、9名もの方が亡くなるという痛ましい事故は、この国の社会資本整備、インフラがどうなっているのかに関心を高めさせる結果となりました。国が早急に対応を取り、データベース化もしっかりとやっていただきたいと思います。

国土交通省は、新成長戦略の一環として、道路空間のオープン化を方針化されました。道路の高架下の利用で、安全性第一はあたり前ですが、高速道路の高架下は、昼間でも余り日が当たらず、排気ガス、騒音のために窓も開けられないような状況があると思います。ですから、人が使う、特に高齢者や子どもたちが使うような施設としては余り適切とは私には思えません。

私の地元、東京の練馬区では、関越の高架下に高齢者施設を造る計画があります。計画を見ると、高架下なので建物が変な形になっていたり、なかなか使い勝手が悪そうだなというふうに思います。

老朽化した道路の高架下に、人が使う建物を建てていいのかということは、疑問です。道路空間のオープン化に向け規制を変えられたと思いますが、それに向けてどのようなことがあったのでしょうか。

△前川秀和政府参考人:

委員ご指摘のとおり、道路の高架下の利用につきましては、平成17年までは真にやむを得ないと認められる場合に限定をいたしておりまして、事実上、広場、公園、駐車場等の利用に限られておりました。しかしながら、まちづくりでありますとか、にぎわい創出等の観点から、地域活性化にも資するということで、平成17年の9月に高架道路の路面下の占用許可についての局長通達を改正をし、あくまでも地元のニーズがあることを前提といたしまして道路の高架下の有効活用を図ることとしたところでございます。

▼大河原:

人の命を守ることが大前提にならなければならないという意味では、あらゆるリスクを縮小するという意味で、老朽化した道路の高架下の利用は基準をきちんと持った方がいいんじゃないか、築後40年経過した高架下の利用については制限が必要だと思いますけど、いかがでしょうか。

△前川秀和政府参考人:

高速道路の高架橋につきましては、第三者の被害を防止する観点も大変重要だと思っております。委員ご指摘のとおり、予防保全の観点から長寿命化を図ることが大変重要だと思っておりまして、そのために適切に調査、点検を行い、その結果に基づき計画的に修繕を実施をしていくことにより、安全性の確保に努めてまいりたいと考えております。

▼大河原:

今のご答弁は、基準を作るということですか?安全性を確保するということで、これから前向きに検討していただけるんですか。

△前川秀和政府参考人:

繰り返しになりますが、予防保全の観点から調査、点検をきちんとやって、その結果に基づいて修繕を行うことにより安全性の確保に努めてまいりたいと考えておりまして、そのための点検等の基準については、今も運用をさせていただいているところでございます。

▼大河原:

そうすると、自治体が計画した場合、国がこの道路橋の下はもう点検をしましたのでどうぞお使いくださいという姿勢になるということですね。何か起こったときは、施設を造った側の責任になるのか、あるいは、貸し出した国の責任になるのか。私は責任の所在が不明確になるようなことではいけないと思うので、築後なるべく議論の差し挟む余地がないような形で基準を作るべきだというふうに改めて申し上げておきます。

Q7 建設産業における後継者育成と公共投資の経済効果について

▼大河原:

次に、建設産業の担い手が働きやすい環境をつくるということは、衰退をしてきている建設業において必要だと思うんです。公共事業に莫大にお金が掛けてきたけれども、建設業に携わる担い手を育てるに足る効果があったのかという点で伺います。

公共投資の経済効果をどういうふうに見てこられたんでしょうか。例えば、日米構造協議で、91年から公共投資基本計画が進められました。95年からは13年間で630兆ということですが、建設分野で投ぜられた投資額と、それに見合う経済効果はどのような結果だったんでしょうか。

△松下新平政務官:

ご指摘の公共事業による経済効果ですけれども、国土交通省といたしましては、フローの効果として、支出以上にGDPを押し上げる効果があるとともに他産業への生産や就業を誘発する効果が考えられます。さらに、公共投資には、維持補修や防災対策であれば、国民の生命や財産を守るといった効果がございます。また、数字ではなかなか表しにくいんですけれども、基幹的交通インフラの新規整備であれば、移動時間の短縮による物流の効率化等の効果が生じます。

一点だけ具体的な例を挙げさせていただきますと、平成12年の東海豪雨では約6,700億円の被害が生じましたけれども、事前に治水対策を行っていた場合には被害が約5,500億円軽減できたと。これは、実に82%の削減でございますが、見込まれております。

このように、公共投資には様々な経済効果が見込まれていると認識をしております。

▼大河原:

経済効果は、当初そういうふうになるはずという予測はするんですけど、最終的にどうだったかという、調査はなかなか行われないものだと思います。今、政務官がおっしゃった間接的な効果というよりも、この産業を担っていく方たちの夢が持てる、希望がつなげる、そういう産業として育成するべきと思っていまして、建設事業者の半数以上は5人未満の小さいところでございます。ですから、零細事業者とそこで働く人の新たな支援を早急につくるべきだと思っております。

その点で、今日、厚生労働省からもおいでいただいているので、その辺の検討がどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。

△山越敬一政府参考人:

公共事業におきまして適正な賃金等を確保することは重要な課題であると考えております。また、委員ご指摘のとおり、例えば地方自治体におきましては公契約条例を制定したところもあると承知をしております。他方で、本来、賃金等の労働条件は労使が自主的に決定することが原則でありますし、また公契約における労働条件のあり方は予算の効率的な執行と密接に関係すると考えております。

このため、厚生労働省といたしましては、まずは地方自治体の条例の運用状況等を注視いたしまして情報収集、分析等に努めてまいりたいと考えております。

▼大河原:

建設産業で働くことは、昔は、ちょっときつい仕事だし、技能も必要なものだけれども、それに見合った報酬が得られるということで若者たちも参入していましたし、一緒に働くことでまた技術も教えていただけるということがある。建設産業が疲弊している現状では、こうした担い手、新しく参入する人を増やしていくために是非、しっかりしたお給料がもらえる職場にしなければいけないと思います。今厚生労働省で検討を始めているということで、太田大臣には是非、自治体で始められている公契約条例を後押しするような形で公契約法を作ることとか、公共事業、設計労務単価のあり方の見直しとか、とにかく就労の賃金の下限の額の維持というようなことで是非ご尽力をいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょう。

△太田昭宏大臣:

私もそこの問題はずうっと心配して、こういう立場になる前からずうっと現場の中で聞いてきますと、労務単価がこれだけだと、こういうふうに言われても、現実に現場へ行きますと、そういう人たちがそれだけもらっていないということが、どうしてそういうふうになってしまうんだろうということで、この人たちがしっかりした適正な給与がいただけてということは、労務単価を現状に合うように引き上げていかなくてはならないという積算上の問題もあります。

それから、若い人と技能者がもっと入ってくるようにというふうに思ったんですが、建設産業はどんどんどんどんそれが縮小していきます。何でそうなるかというと、この産業に希望がない、そして公共事業なんかも急に増えたり、またどんと減らしたりということで、これ公共事業悪玉論なんということも影響しているんです。

ずうっとこれは地道に、誇りある大事な仕事なんだよということで、予算なんかもある意味では恒常的にずうっと落ち着いて必要な額があってという、そして企業の側も見通しが利くということが非常に大事で、そういうところにあって初めて若い人が入って技能者が入ってくると。そこに、私はこの働き方ということについても、構造物をメンテナンスをしなくちゃならないが、働く企業においても今メンテナンスが必要な時期に来ているというふうに思っています。

その中で、大河原先生おっしゃるように、本当に現場で一番大変な中で働いている人がちゃんとした給与が得られるように、あるいは保険なんかもちゃんとそこに入っていけるように、アルバイトでぱっと使ってというふうにならないようにというようなことの措置をすごくとるということは大事だというふうに思っています。

公契約法ということの制定あるいは策定ということについて地方自治体が努力をしているという実例ということについても承知をしておりますが、今厚生労働省からもありましたように、賃金等の基本は、これは労使間で決定されるということがあり、様々なこの法制定ということにつきましては、国による賃金規制の是非とか、規制する賃金水準の在り方とか、あるいは賃金の支払状況の監視方法、様々なものを、これは論点がありますので、私が今日申し上げたようなことを総合的に判断して、最終的には何といっても適正な給与が保障されるというふうに持っていきたいと強く思っているところでございます。

▼大河原:

持続可能な仕事になるように、しっかりとベースを守る、そういう方策を取っていただきたいし、それには公契約条例は有効な方法だと思っています。

 Q8 都市農業の振興について

▼大河原:

最後に、都市農業の振興についてですが、羽田前大臣のとき、都市農業、都市の農地の位置が国の方針になりましたので、国交省、農水省、財務省合同で検討をすすめていただきたい。東京都ご出身の大臣で都市農業についても造詣が深いと思います。合同で検討していく旨をお答えいただけますでしょうか。引継ぎ事項でもあるかと思います。

△太田昭宏大臣:

引継ぎという点は別にして、短時間でありましたから、そういうことではないんですが、都市農業が大事であるということで、そこに相続とか固定資産税の問題とかそういうことが発生していることをどうするかということについて、農水省と国交省の間でしっかり更に検討させていただきたいというふうに思っているところです。