Q1 市街区域内小作農への固定資産税徴収問題について

▼大河原:

1月29日に質問主意書を提出し回答も得たが、納得できない。

通常、土地を借り地代を払っている場合、固定資産税は地主が払うが、国有農地の場合、将来小作農に売却するということで、使用者を所有者とみなし、固定資産税を小作農が負担している。しかし市街化区域内に国有農地がある場合、小作農が土地購入を申し出ても、元所有者でなければ購入できないとされ、土地の賃借料の他に固定資産税を徴収されており、おかしい。説明して欲しい。

△高橋農林水産省経営局長:

戦後の農地改革時に小作農に売り渡そうとしたが、当該小作農から買う意思が示されなかったことと、非常に零細で売り渡しても農業が続けられないという状況から、これを売り渡さないまま現在も貸付けが行われている。

国が売り渡しを行った場合、直後にこれを転用するのも認められている土地なので、かつて強制買収された地主との公平性から、市街化区域の土地については、国が買収する前の所有者又は一般承継人に売り払うことになっている。旧所有者が買受けを希望しない場合には、一般競争入札で売り払うことも可能で、小作農も当然入札に参加できる。

小作農の所有権移転の場合、当該小作農の同意が必要となり、所有者に対抗できる地位の保全が行われている。

小作地についての国の貸付契約は1年となっていたが、毎年、農地法の19条で法定更新がされており、将来にわたって法定更新が続くということになっている。小作地を解約しようとする場合、都道府県知事の許可が必要で、合意解約もそうした許可がなければできない。このように小作農の賃借権については相当程度保護されており、農地として使用される限り、解約できない。

△佐藤総務大臣官房審議官:

農地法に基づき国が買収した土地の所有権はいったん国に移転する。その後耕作者などに売り渡されることが予定されているという制度である。その場合、固定資産税の所有者課税の原則の例外を定めている。当該土地を使用収益する者がある場合、その使用者を所有者とみなし税負担を求めている。

▼大河原:

旧地主が買い戻すときは、その後農地として使わなくても良いのか。

△高橋農林水産省経営局長:

すべての売払いにおいて取得した後の農地については、届出すれば転用は許可が不要だ。

●大河原:

市街化区域内の国有農地を小作農に売却できない以上、固定資産税課税方針は撤廃すべきではないか。都市農業振興や都市における農地の多面的な機能に注目し、町中の農地を維持していこうと思えば、旧地主の権利も撤廃し、恒久的な国有方針を打ち出してもいい。60年以上経っている問題なので解決しなければならない。

Q2 日本農業の危機について

▼大河原:

大臣所信の中で、日本農業の危機的状況について述べているが、大臣が認識する日本農業の危機とは。

△石破農林水産大臣

農業者が高齢化しその後の世代が出てこない、収入が少ない、耕作放棄地が増えているといったことから、人、金、物、すべての面において相当の危機感を持っている。

▼大河原:

大臣所信の中で、「我が国は世界最大の食料純輸入国であり、カロリーベースの自給は主要先進国中最低水準にある」、「独立国だから、食料自給の強化と食糧自給率の向上を図ることは国家安全保障の観点からも大事」、「世界に責任を負うべき国家として世界全体の食料需給の安定化に寄与する」とある。我が国は世界最大の純輸入国ということは、一番世界に依存している国であるということだが、この日本の置かれている現状は、一体、先進国なのか、途上国なのか。

△石破農林水産大臣:

WTO上の位置付けは先進国になっている。先進国中の食料自給率が最低で、先進国中最大の純輸入国である。

私の問題意識は、地球に65億人いる中で9億人が栄養不良状態にあり、1日に2万4千人が餓死している。日本は6割を外国に依存し、遊休農地はたくさんある。こういうことをどう考えるか、国民が等しく胸を当てて問うべきことだと思う。

▼大河原:

重量ベースでいってもカロリーベースでいっても自給率40%という国は、先進国中最低どころか、穀物ベースで世界174か国中124位で、28%しか自給率がない。これでは途上国の中でも下の方になるのではないか。

△石破農林水産大臣:

数字的位置付けは指摘の通りと思う。

食料安全保障という概念を出す際に、どの水準の食生活が維持されるべきなのかという議論は必要だ。仮に今の日本で自給率100%の暮らしをしようとすると、主食は米でなく、サツマイモとなる。しかも校庭やゴルフ場等耕作可能な場所は全て耕作をしてという場合の話だ。何を維持するのかという議論もちゃんとしておかねばならないことと考えている。

▼大河原:

日本人の食卓に上らせる食料でどれだけのものが必要なのかというシミュレーションはされているのか。米、穀物、野菜、果物等、自給を高める目標としてのグランドデザインはあるのか。

△石破農林水産大臣:

50%を目指そうとすれば米、畜産、果樹等のシミュレーションは当然している。国民皆が米を茶碗一杯余計に食べると自給率は8%上がる。

先に述べた100%の自給率は、耕地や農用地が足りないので不可能だ。どの程度の水準を維持するのかが大事だ。食料安全保障を考える時、自給と輸入、備蓄のバランスをどうするか議論していきたいと思っている。

▼大河原:

50%の安全性を確認するなんてとても安全保障とは言えない。

国民が必要とする食料生産を最優先し、まんべんなく行き渡るように実効性のある、または輸入規制や価格保障を行う等の食料主権が大事になってきていると思うが、大臣の考えは。

△石破農林水産大臣:

自国ですべて防衛するのか実際に可能な力を持っているのは世界中でアメリカのみで、どの国もそんなことをやろうとすれば財政的に破綻してしまう。

私は貿易と食料主権論はきれいに分かれるものではなく、国民がいざというときに生存できる仕組みは必要だと思う。それは自給を基本としつつ、適切な輸入と備蓄の組み合わせにより実現するが、輸入が断ち切られた場合にどれくらいの期間持ちこたえられるかという議論も常にしておかねばならない。

▼大河原:

適切に自給できる国にしてきたかということが問われている。

経済大国世界第2位という地位から、農業分野で100%の自給をどこまで追及できるのかシミュレーションしなければならないのではないか。

△石破農林水産大臣:

自給率は大事だが、農地、農業者、農業所得の3つがきちんと確保された結果として自給率も確保されるのではないだろうか。自給率唯一絶対ということではない。

▼大河原:

私も自給率至上主義ではない。農林水産業の中で日本の自給力は強めていくべきだと思っている。日本のAMS(Aggregate Measure of Support 農業保護相当額)は幾らか。

△石破農林水産大臣:

AMSの日本の約束水準は3兆9,729億円となっている。

Q3 農政における消費者について

▼大河原:

一般的な日本人消費者の感覚として、農業への補助金がたくさん付けられてきたのに、ぼろぼろな状態であることが不思議であると思う。情報公開において国民、消費者に対する目線が足りなかったと思うが、大臣の農政における消費者の位置づけの考えはどのようなものか。

△石破農林水産大臣:

流通業者、小売屋は意識しつつも、BSEや汚染米の例からも消費者を念頭に置いた行政とは言えなかった。

農林水産省は生産者に基盤を置いてきたのは否めない事実だと思う。食の安全、安心に責任を持つ官庁は農林水産省であるという意識を省内に徹底させ、消費者の安全、安心の確保、消費者の利益の実現、できれば消費者、生産者どちらも利益を得られる関係ができるようにしていきたい。

▼大河原:

大臣所信の中で「消費者」という言葉は3番目に出てきた。ほかの行政分野では「消費者の権利」がしっかりうたわれるが、大臣所信では「消費者の信頼」止まりだった。この点をどのように考えるか。

△石破農林水産大臣:

例えばトレーサビリティー法案では生産者、流通、小売に関わる者へ情報提供の義務が課せられるが、その裏返しは消費者の適切な情報に接する権利だと思っている。消費者の立場が「権利を法的に保護されるもの」という概念で更に拡大していくと認識している。

▼大河原:

食べ物の分野では情報公開がなかなか進まない。食の安全の政策を作るときも消費者の参加が当初から保障されていない状況がこれまであった。

スイスでは企業から転換した「ミグロ」という生協があり、「消費者と共に経営する」、「生産者は消費者へ情報公開する」、「生産者へ持続的な生産を保障し、消費者は生協で買い続ける」というコンセプトがある。日本でも、昨年、農林水産委員会で視察した庄内・遊佐での飼育米プロジェクトがあるが、これが成功した秘訣は何だったと考えるか。

△石破農林水産大臣:

平田牧場の話だと思うが、消費者の視点がきちんと入ったことではないか。

飼育米プロジェクトを進める際、飼育米を作るだけではなく、どのようにそれが畜産側に渡り、どのように消費者に情報が伝わるか、一連の流れで行っていると記憶している。

▼大河原:

平田牧場の例は実験段階から生活協同組合の組合員が購入することで支えてきた。農業は出来上がった農産物を買う人がいて初めて成り立っていくものではないか。

△石破農林水産大臣:

おっしゃるとおり。買う人がいて初めて成り立つ。その距離をどう縮めるかが大きな政策課題だと認識している。

▼大河原:

今後飼育米プロジェクトが広がることを期待するが、消費者が何を求めているか、どういうものを作れば日本の農業が再生できるのかおのずと明らかになると思うが、どう考えるか。

△石破農林水産大臣:

きちんとした方法で飼育、肥育されたものを食べたいという消費者の嗜好があるならば、消費者の反応がきちんと伝わることが大事だと思う。買う人の嗜好が反映されるシステム構築が極めて重要だ。

Q4 安心できる食べ物について

▼大河原:

ギョーザ事件やミートホープ問題等、流通している食べ物への不信はなかなか払拭されない。食べ物が安全で当たり前ということが、現実に生産現場に通じていかないのは残念だ。

クローン牛や遺伝子組換え作物、放射線照射食品といったものが出ているが、国民が安心できる食べ物を提供し、生産者に安心して作り続けてもらうために、国民へ向けて安全性を確認するメッセージを出して欲しい。

△石破農林水産大臣:

外国産品排斥運動のようになるのはいいことだと思っていない。外国にも良心的に作っている生産者がいることをよく認識しなければならない。それを前提にトレーサビリティーについて等、外国と互いに可視化して信頼を担保する仕組みがつくられることが大事だと思う。

クローン牛や遺伝子組換えについては、科学的知見と同時に消費者の安心が担保されなければ、流通されてはいけない。農林水産省として厚生労働省と協議し、消費者の信頼が得られないものについては流通しないようしていきたい。

Q5 今後の農政改革の方向性について

▼大河原:

これまでの農政の誤りをきっちり正していくことが必要だと思うが、今後の改革の方向性、現在検証している内容を伺いたい。

△石破農林水産大臣:

「誤り」という指摘があったが、私は今まで都市と農村はうまく共存してきたと思っている。所得においては世界でも有数の都市と農村との均衡をつくってきた。この先、都市住民、消費者、納税者の理解を得るための努力をどれだけするのかが改革のポイントだと思う。

自身の体験からすれば、消費者の立場で農政がどうあるべきかの議論が委員会で行われるようになったことは、画期的なことだ。消費者の意向がきちんと反映されるような農業政策をつくっていきたい。

日本から農業、農村がなくなって一番困るのは都市住民だと思う。国民皆が共通認識に基づき農業・農村を支える農政を展開することが肝要だ。