第169国会 2008(H.20)年1月23日 「本会議」

大河原雅子
民主党・新緑風会・国民新・日本の大河原雅子です。会派を代表して質問いたします。
昨年七月、東京選挙区から初当選させていただきました。政治は生活であるの言葉どおり、私は3人の子どもの子育てをする中で、妻として、母として、生活者として、この国の抱える数多くの矛盾や課題に出会いました。そして、納得のできる解決策を得るため、情報公開と参加を道具として仲間たちとともに活動に取り組んでまいりました。とりわけ、東京都議会議員としての3期10年は、市民の生活の中から出てくるニーズを丁寧に集め、生活実感に基づく政策を実現する生活者の政治を実践してきたと自負しております。
その中の一つとして、食べ物の安全をテーマに取り組みましたが、「消費者のニーズ」という言葉の裏には必ずと言っていいほど作る側、売る側の論理が隠れており、法律はこれにお墨付きを与え、むしろ擁護するような位置に置かれています。
その原因の一つは、国民の健康や命の安全を基点に、危険の回避や未然防止の視点から法律やルールが作られていないことにあります。国民一人一人の生活を安全、安心できるものにするはずの政府が、国民を見ず、課題をとらえず、根本的な解決方法を見出す努力もしていないのです。そればかりか、あらゆる分野で政官業の癒着は根深く、天下りと無駄な公共事業が繰り返され、そのツケばかりが国民に押し付けられています。
この国では、年金、医療、子育て、介護の不安、過酷な労働と、若者たちにも拡大する新たな貧困など、多くの問題が起こっています。国民が必要最低限の文化的な生活が送れる基準は、年金受給者でも生活保護家庭でも同等であることが当然のことだと思います。生活の最低基準を設定することは政治の基本的な役割です。ほころびを繕うだけの政治ではなく、根本からこの国の転換が必要です。持続可能な成長と自立した個人が連携して地域で豊かに暮らし、大事なことは自分たちが決め、地域社会の運営を担っていく市民の力を生かす仕組みを新たにつくることが重要なのです。
「地域主権」「生活が第一」の視点から質問いたします。

まず、株価問題について質問を追加さしていただきます。
日経平均は、福田総理の就任時より、16,435円74銭でしたが、それが昨日の終値で12,573円5銭、わずか4か月足らずで3,860円以上も下落しています。これはまさに福田売り以外の何ものでもありません。市場に対する福田政権の無為無策、マーケットが大いに警鐘を鳴らしているのが実態です。
この市場の警鐘に総理はどのような政策をもってメッセージを出していくのでしょうか。現在の金融株式市場の危機の克服に対する明確なメッセージを求めます。

次に、福田総理が施政方針で発表されたいわゆる消費者庁についてお尋ねします。
昨年は、食品の原材料や産地、有名な老舗による賞味期限改ざん問題が相次いで明らかになり、偽装事件に対する国民の怒りが頂点に達し、食に対する不安が高まった年でした。
民主党は、昨年の参議院選挙において、食の安全、安心の確保を重点公約に掲げ、現在、内閣府、農林水産省、厚生労働省に縦割り、分断されている食品安全行政の一体化を提案いたしました。
ここに来て福田総理は、消費者行政を一元化する考えを示していますが、民主党の政策をつまみ食いしているような印象を受けます。総理は施政方針演説で、各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的、一元的に推進するための強い権限を持つ新組織を発足させるとし、消費者行政担当大臣を常設するとされました。お言葉は結構なのですが、強い権限とは一体何なのか、総理の答弁を求めます。
米国産牛肉の輸入問題を見ても、十分に客観的なリスク評価がされたのか、疑念がないとは言えません。このリスク評価に際しても、農水省や厚労省などの監督官庁の主導が目立ちました。脆弱な食品安全委員会の改革が行われないまま、新しい組織が本当に産業主導の官庁から独立して消費者の権利を擁護できるのか、そのためにどのような行政組織として設計するのかが問われているんです。
新しい組織が独立性を確保するには、3つの要件が求められます。第一の要件は、監督官庁に対して是正の勧告権を持つこと。第二は、独自に行政処分を行う権限を持つこと。そして第三に、この組織の運営に消費者が参加することです。これら3つの要件を持ってこそ、総理が言われる強い権限を持つ組織が確保されると考えます。総理、私の提案に対して明快なお答えをお願いします。

次に、食料自給率、農業政策についてお尋ねします。
政府・与党の場当たり的農政の失政により、農村は過疎化、高齢化、従事者の減少など深刻な構造変化に見舞われており、日本の食料自給率は、2006年、カロリーベースで39%、ついに40%を割りました。
農業は、生産することだけでなく、環境保全、水循環の維持、安らぎを与えるなど多面的な機能を持ち、農業を国で支えていくことは農村の再生と地域経済の活性化につながると確信しております。農業生産は、食べ物の安全、安心の確保、全国的なレベルで地産地消、旬産旬消を推進することが消費者、生活者の利益にもかなうものと思います。そのためにも、国内の自給率向上は何をおいても重要なのです。日本の自給率の将来、そしてその具体的な政策について、総理並びに農林水産大臣の見解を求めます。
昨日、我が党の輿石議員の農業政策に対する答弁で、福田総理は、小規模・高齢農家の方々へのきめ細かい対応に努めつつ、現場の実態に即した経営所得安定対策による意欲ある担い手への支援の充実を行うと発言されました。また、民主党提案の農業者戸別所得補償法案に対しては、必要となる予算の財源を含め詳細が不明と批判されました。それでは、福田総理の発言のどこに詳細な内容が示されているのでしょうか。
民主党提案の法案は、既に本院で可決された法案です。政府の責任者たる福田総理がこれを批判された以上、御自身の発言された施策について、予算規模、財源、事業の詳細についてこの場で御説明いただきたい、いかがでしょうか。

次に、公共事業について伺います。
2008年度公共事業関係予算は、当初ベースで七年連続減少の6兆7,352億円となりました。この規模は、過去最高であった97年度の9兆7,447億円に比べ約30%の減少です。国や地方の赤字財政が拡大し、また、公共事業に関する様々な無駄が指摘され、事業に絡んだ談合や汚職が絶えない中、この規模の縮小は当然です。しかし、少子高齢化の進展や、社会資本の老朽化、地域格差の拡大など、時代の変化に対応し、事業の中身自身は変わってきているのでしょうか。
そこで、来年度公共事業予算において、政府はどのような施策に重点を置いているのか、また、今後の公共事業の目指す方向性について、総理及び国土交通大臣の見解を伺います。
さて、厳しい財政状況の下では、今まで計画されてきた大規模事業についても中止や縮減を余儀なくされるケースがこれからも出てくると考えられます。例えば、ダムについていえば、利根川水系の戸倉ダムが建設中止になりました。巨大公共事業は計画から完成まで人の人生の半分以上掛かる場合もあります。
そんな中、事業に翻弄され、疲弊した住民や地域が公共事業の中止によってますます疲弊し、崩壊するような事態は避けなければなりません。また、何十年もインフラの整備を止められ、兵糧攻めにされて苦しんできた地域に、公共事業中止後の支援の手を差し伸べるのは当然のことと言わなければなりません。ところが、公共事業中止後の支援体制や生活再建について、いまだ法律や制度は整備されておりません。こんなことでは見直しは進みません。
国が決めた事業でも、時代が変わり情勢が変われば見直しや中止もあり得る、そしてその際にはその事業計画に翻弄された人々や地域の再建に国がしっかりと支援を行う必要があります。公共事業中止後の生活再建の基本的な法律や制度を総理は制定するおつもりがあるのか、見解を伺います。
次に、無駄な公共事業の代名詞として多くの国民の批判を受けているダム建設について伺います。
福田総理の地元、群馬県の八ツ場ダムについてです。このダムは、総理のお父上、福田赳夫元総理の時代から福田ダムとやゆされてきました。
1952年に初めて計画が発表されてから実に半世紀以上が過ぎております。この間、ずさんな計画なため、住民の厳しい指摘によって度々計画は変更になり、完成予定年度も2015年度と当初の2000年度から15年も遅れ、総事業費も前計画の2,100億円から4,600億円に上昇したほか、建設事業費に基金事業や起債の利息を含めるとその総額は8,800億円にも達し、文字どおり日本のダム史上最も高額なダム建設になると言われています。
多くの住民の生活を奪い、貴重な自然と野生生物のすみかを奪い、下流の住民からさえも無駄な公共事業と批判を受けたこの八ツ場ダムを、それでも建設する理由は一体どこにあるというのでしょうか。首都圏の水がめを目的とした八ツ場ダムですが、首都圏の人口は2015年以降は減少し、水需要も今後、確実に減少することが示されております。現在でも利根川、荒川水系の水需要は十分に余裕があると言えるのに、なぜさらにこのような巨大ダムを建設する必要があるのでしょうか。
周辺地域は浅間山の噴火による火山灰等が堆積した極めて脆弱な地層であることから、ダムが建設されれば地すべりを起こし、周辺地域を巻き込む甚大な被害をもたらす危険があることも指摘されています。政府はそれでもなお八ツ場ダムの建設を推し進めようとするのでしょうか。総理及び国土交通大臣の所見をお伺いいたします。
次に、緑のダムについてであります。
我が党は、2000年11月、緑のダム構想を発表しました。その骨子は、日本にある約2,600のダムの総貯水量が202億トンであるのに対し、森林2500万ヘクタールの総貯水量は1,894億トンとダムの約9倍にもなり、その効用はダムをはるかに上回るというものです。
人工的なコンクリートのダムは周辺住民の悲しみや怒りを生み、さらに税金を食いつぶしますが、緑のダムは住民に安らぎと憩いの場を提供するいやしの空間を生み、人間のみならず野生生物にもすみかを提供するとともに、併せて水源涵養機能や崩落予防の機能を持っている極めて優れたダムであると言えましょう。これに対して反対意見のあることも承知はしておりますが、どれも定性的なものであり、私どもの定量的な提言を覆すほどのものではありません。
今、我が国の山林は、後継者不足から危機に瀕しています。例えば、森林所有者不在村面積は327万ヘクタールとなっており、森林の整備が十分に行われていません。また、我が国の木材輸入は世界の四割近くを占めている一方で、木材自給率は20%程度と低迷しています。世界の森林がすさまじい速さで消失している現実を考えるとき、国内の自給率の向上こそが最も重要です。さらに、日本に課せられている京都議定書の削減目標達成のためにも、吸収源である森林の整備は欠かせません。
民主党は、緑のダム事業として、間伐など森林整備を大幅に増額すべきであると主張しています。これによって、森林の整備が行われ、林業労働者の後継者が育ち、地域が活性化し、ダムなどの大規模公共事業に頼らない、持続可能な地域づくりが可能になると考えます。現在の政府の予算規模では吸収源マイナス3.8%の確保も難しい状況であると考えますが、総理、農水大臣、いかがでしょうか。また、民主党が主張する森林整備への更なる予算の上積みについても、併せてお尋ねいたします。
また、国土交通省は、治水や利水計画を考えるにあたって、森林の整備や活用をどの程度考慮に入れているのでしょうか。緑のダム、森林の保水力について国土交通省が真剣に調査をしたことがあるのでしょうか。森林の保水力を軽視し、いたずらにコンクリートのダムの必要性を強調してばかりいるのが現実かと思います。森林の持つ保水力を向上させること、きちんと保水力の調査を行うことが第一ではないでしょうか。国土交通大臣の見解を求めます。

次に、子育て、介護における人材確保についてお尋ねします。
我が国において、かつて子育て、介護は、家族、中でも特に女性が担ってきました。しかし、ライフスタイルの変化や保育所の整備、介護保険制度の導入等に伴い、現在、子育て、介護は家族のみでなく社会全体で支えるものに変化しています。今後も、少子高齢化が進む我が国においては、更なる子育てや介護の支援が必要です。
子どもを産み育てることは、保護者が責任を持つものであると同時に、社会全体が、次代を担う子どもの育ちを応援し、環境整備すべきものです。
民主党は、これまでも子ども第一、チルドレンファーストの方針を掲げ、子どもが安心して育つことのできる社会の実現を訴えてきました。労働力や年金の担い手確保のための人口対策としての少子化対策ではなく、一人一人の子供に視点を置き、総合的な子育て支援を提案しています。今こそ人づくりへの効果的な予算配分が求められているのです。さきの臨時国会では、中学校修了まで子供一人当たり月額26,000円を支給する子ども手当法案を本院に提出いたしました。さらに、父親も母親も仕事と生活のバランスを取りながら育児に参加できるような働き方の見直しや、多様なニーズにこたえ得る保育サービスの充実など、子育てしやすい環境の整備を最優先で進め、社会全体で子どもたちを支える社会を目指しています。
政府は2007年12月に、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議の最終まとめを出しましたが、その内容は従来の焼き直しにすぎず、意欲を感じることはできません。子供や家族を応援すると言いながら、一人親家庭、特に母子世帯への支援が削られています。政府は、本年四月から児童扶養手当を削減することを決めていました。標榜するスローガンと実態が大きく懸け離れています。この措置は当面凍結されることとなったようですが、母子家庭の不安は大きく、民主党はさきの臨時国会で児童扶養手当法の改正案を提案いたしました。母子世帯の母は不安定な非正規雇用が多く、平均年収は約233万円です。子育て支援、一人親家庭の支援策としてどのような政策をお考えなのか、政府の見解を伺います。
また、介護・福祉人材の確保のためには、ライフスタイルに応じ、その働き方にふさわしい処遇の下で働くことができるよう、労働時間の短縮によるワーク・ライフ・バランスの実現や、正規・非正規労働者の均衡処遇等を図ることが必要です。働きたい人が男女を問わずやりがいを持って働き続けられる、その環境をつくる施策に政府を挙げて取り組む必要があると考えますが、御所見を伺います。

次に、分権改革について伺います。
1993年6月、地方分権の推進に関する決議が衆参両院で決議されてから、はや15年の歳月が流れようとしております。この間、地方分権推進法の制定とそれに基づく累次にわたる分権勧告を経て、99年には地方分権一括法が制定されました。国と地方の役割分担の明確化や機関委任事務の廃止等々、地方分権はそれまでの中央集権型行財政システムに風穴を空ける歴史的第一歩を踏み出すはずでした。しかし、地方の財政規模は大幅に縮小される一方、国から地方への権限の移譲は今後の大きな課題として取り残されたのであります。結果として、国の財政健全化には寄与したものの、地方財政には苦渋と困難を押し付けるものでしかなかったことは明白です。
次の分権改革を目指し、一昨年の12月には地方分権改革推進法が成立し、その推進計画の策定とともに、3年以内に新地方分権一括法を国会に提出することとなっております。私たち民主党は、個別のひも付き補助金が中央による地方支配の根源であり、様々な利権の温床になっていることから、原則撤廃を主張しております。新地方分権一括法ではひも付き補助金を原則全廃し、それに見合う税財源を地方に保障する措置を盛り込むべきと思いますが、総理はいかがお考えでしょうか。
地方分権は、なお道半ばであります。国と地方の関係を上下主従の関係から対等協力の関係に改め、中央政府に対する地方政府の確立こそ分権改革の本旨です。地方の、地方による、地方のための自治を確立するには自治行政権、自治立法権、自治財政権の確立が必要不可欠なのです。
増田大臣は、昨年、2010年の通常国会に提出を予定していた新地方分権一括法案について、せめて半年は前倒しする必要があると述べたと報じられておりますが、その御発言は事実でしょうか。事実であるならば、一括法の基となる推進計画はいつごろ取りまとめられる予定でしょうか。あわせて、今度の一括法に盛り込もうとする法案の真髄は一体どのようなものでしょうか。今度こそ、地方が果たしている役割に見合った税財源の配分の見直しが行われると理解してよいのでしょうか。また、大臣が一括法に懸ける思いとは一体どのようなものなのか。未完の分権改革はこれで完成した分権改革になるとお考えでしょうか。大臣の率直なお考えをお聞かせ願います。

今年から京都議定書の第一約束期間が始まりました。言うまでもなく、地球温暖化問題は喫緊の課題であり、国民の関心も非常に高まっています。
昨年、IPCCが第四次報告をまとめ、2010年から15年までに世界のCO2排出はピークを迎え、2050年には90年度比で半減以下にすることが可能となるような仕組みづくりを求めています。科学は結論を出しました。次は、政治が地球温暖化、気候変動問題にどう向き合っていくかを示す番です。
昨年12月のCOP13では、2013年から始まるポスト京都の枠組みについての議論が活発に行われ、その結果、来年末までに合意するとしたバリ・ロードマップが確認されました。会議のプロセスでは我が国は抵抗勢力と受け止められ、激しい非難を浴びるといったこともありましたが、バリ・ロードマップに対する総理の評価をお伺いします。
昨年、本院予算委員会などにおいて総理は、日本の温室効果ガスの排出削減の総量目標の策定を明言されました。しかし、バリ会議では、我が国の総量削減をどう考えているのか、日本政府からの発言は残念ながらありませんでした。
また、1月16日に関係4大臣が会議を開催されましたが、温室効果ガス削減の数値目標を設けるか否かについては意見が対立し、まとまらなかったと聞いております。こうした意見対立のために、京都議定書が締結されて以降の10年はまさに温暖化対策にとっての失われた10年であったと言わざるを得ません。その結果、昨年度の我が国の温室効果ガス排出量は基準年比6.4%増となっており、京都議定書で約束した6%削減の目標の達成も危ぶまれています。議定書目標達成計画の実効性の乏しさも含め、これは政府の無為無策の結果ではないでしょうか。総理の見解をお伺いします。
今週からダボス会議が開催され、総理も出席されます。この地球温暖化問題について、数値目標の設定も含め、総理はどのような御発言をされるおつもりですか、お伺いします。
バリで先進国は2020年に90年比25から40%削減が必要との議論がされたように、国際的な潮流は削減量の明示です。我が国も更に大きな削減目標を掲げる時期に来ています。私たち民主党は、昨年、脱地球温暖化戦略をまとめました。我が国の中長期的な数値目標の設定、総合的な効果を踏まえたキャップ・アンド・トレード型の国内排出権取引市場の創設、再生可能エネルギーの利用比率の拡大等を強く主張しています。このことについて総理の見解をお伺いします。

次に、障がい者施策について伺います。
昨年9月28日、遅ればせながら、ようやく我が国も国連障害者の権利に関する条約に署名しました。この条約策定に当たっては、日本政府はNGOと連携を図り、率先して役割を担ってこられたものと認識しています。しかし、残念ながら条約の政府の仮訳文は、現行の国内法の枠内にとどまった過小解釈がなされ、国連における議論から大幅に後退しているとの批判は免れません。
本院内閣委員会では、昨年7月、条約の早期批准の英断を政府に促すため、障がいを理由とする差別を禁止する法制度の整備の促進を求める決議を与野党一致で行っています。一日も早い条約の批准が必要と考えますが、仮訳文の修正も含めた条約批准に向けての検討状況、見通しについて、そして障害者差別禁止法制定に関して政府の見解を伺います。お答えください。
民主党は昨年9月28日、障害者自立支援法改正案を本院に提出しました。以来、1日も早い審議を求めてきましたが、与党がこれを拒否、2度にわたる会期の延長にもかかわらず、一切審議されておりません。この与党の対応について総理はいかがお考えか、答弁を求めます。
一昨年に施行された障害者自立支援法は、障がいが重いほど負担が重くなる応益負担の仕組みです。この結果、全国で多くの障がい者がサービスの利用中止や抑制、制限に追い込まれています。障がい者福祉政策の転換は一刻の猶予もなりません。審議を一切拒否する与党の行為は、国民の意に背くものではないでしょうか。
与党が公表した見直し案は抜本的とは名ばかりで、根本問題である応益負担の仕組みを存続させたまさに偽看板であります。民主党が主張する定率1割負担、つまり応益負担の原則を撤廃し、応能負担に改めるべきです。総理、いかがお考えでしょうか、ご答弁願います。
犠牲は、常に弱い者の上に押し寄せています。豊かさを物で測り、金で測り、力の強い者がすべてを独占することが過ちであることはだれもが知っています。実際、利益追求、効率優先の行き過ぎが私たちを襲い始めている今、一刻も早くこの現状を是正しなくてはなりません。生活者、消費者の視点で国民本位の政策を実現すると言明された福田総理並びに関係閣僚の皆さんには、施政方針演説の精神が偽りであったと言われることのないよう真摯に対応されることを希望します。
この国を公正で安心できる国に変えるには、政官業の根深い癒着を断ち切ることが必要であり、それには政権交代しかありません。生活第一を真っ先に提言した民主党にこそ変革の力はあるのです。このことを国民の皆様にも訴えさせていただき、私の代表質問を終わります。
ありがとうございました。

福田康雄内閣総理大臣 
最近の株価の下落などに対する対応についてまずお尋ねがございました。
このところ、株式市場においては、サブプライム問題等を背景としてアジアの新興市場も含めて世界的な株安が進行しております。他方、サブプライム問題の我が国の金融機関への影響は限定的であり、また我が国経済は企業部門が底堅く、基調はしっかりしております。
ただ、米国経済や各国金融市場の状況を始め、今後の内外の経済動向を引き続きよく注視する必要があると考えておりますので、関係各国と引き続き密接な連携を取ってまいりたいと思います。
まずは、現在、国会に提出しております十九年度補正予算、20年度予算、関連法案の早期成立を確実にすることが最善の策と考えております。このことについては、大河原議員もよくご理解いただけるものと信じております。
消費者行政の新組織の権限についての御指摘がございました。
国民目線に立ち、消費者行政を統一的、一元的に進めていくためには、常設する消費者行政担当大臣の指揮の下で新たな組織や役割を的確に果たしていくために必要な権限を与える必要がございます。新組織の権限については、例えば関係機関の長に対する勧告権限等が考えられますけれども、消費者からの情報を一元的に集約し、各省の政策に反映させるために必要な権限について、現在進めている国民目線の総点検も踏まえながら検討していきたいと思います。
消費者行政の新組織に対するご提案がございました。
新しい組織は、国民の意見や苦情の統一的な窓口になり、その情報を集約し、政策に直結させ、消費者を主役とする政府のかじ取り役になるものであります。このような新組織をつくることにより、各省縦割りになっている消費者行政の弊害が是正され、消費者の利益を擁護できる行政組織となるものと考えております。新組織の権限や体制の具体像については、なるべく早く固める考えでございます。
次に、食料自給率についてのお尋ねがございました。
国民に対し食料の安定的な供給を確保していくことは、国の最も基本的な責務でございます。政府としては、平成27年度に食料自給率を45%とする目標の達成のためには米の消費拡大が重要であると考えておりまして、食品企業やスーパーとも連携した国民運動として、めざましごはんキャンペーンを展開するとともに、農商工連携の強化や食育、地産地消の全国展開など、消費、生産両面からの取組を重点的に行ってまいります。是非この運動に御参加をいただきたいと思います。
経営所得安定対策に関する予算規模等を説明せよというお求めがございました。
政府の政策については、既に提出している予算を計上し、予算及び財政投融資計画の説明に詳細が明らかになっておりますので、まずはそちらを御覧いただきたいと思います。
その上で経営所得安定対策の予算を申し上げれば、関連対策を含め、総額2,392億円を計上しております。その財源は、一般会計のほか、外国産麦の売買差益等でございます。対策の内容としては、意欲ある担い手や小規模、高齢の農家が参加する集落営農を支援するものとして、生産条件の不利を補正する対策、収入減少の影響を緩和する対策、集落営農の経営改善等を促進する対策等でございまして、農林水産省のホームページに示しているとおりでございます。
公共事業についてのお尋ねがございました。
平成20年度公共事業予算案では、3%削減を継続しつつ、地域、国民の視点に立ち、地域の自立、活性化、安全、安心の確保等の課題にこたえるため、事業のめり張り付けを強化し、重点化、効率化を徹底してまいります。また、公共事業のコスト縮減を図るとともに、社会資本の長寿命化を進め、ストックの有効活用を積極的に進めることといたしております。
ご指摘をいただいた社会資本の老朽化はこれからますます進み、例えば橋梁の維持修繕などがより大事になってまいります。したがって、そのために必要な道路特定財源の現行税率を維持することがどうしても必要であります。
公共事業中止後の生活再建についてお尋ねがございました。
公共事業中止後の地元住民の状況は事業ごとに多様ですので、事業者、地元自治体等が連携して必要な対応を個別具体的に検討する必要がございます。このため、事業ごとに住民の方々の御意向等をよく伺い、事業者、地元自治体等が協議して、各主体が役割分担の上で、下水道や公園整備など実施可能なことの実現に努めてまいります。
次に、八ツ場ダムを建設する理由についてお尋ねがございました。
八ツ場ダムは、流域の500万人近くの住民の方々の生命等を守る治水対策と、1都4県への安定的な水供給の両面から必要な事業として推進してまいりました。このため、コスト縮減、環境保全、安全への十分な配慮が行われた上で、関係自治体のできるだけ早期の完成要望を踏まえた着実な事業推進が求められていると理解しております。
議員から福田ダムというお言葉がございましたけれども、このような言葉を私は生まれて初めて伺いました。どこからそういうようなお言葉、言葉を見付けてきたのか。余り造語はなさらぬようにしていただきたいと思います。
間伐等の森林の整備についてのお尋ねがございました。
森林整備については、森林吸収源対策としてだけでなく、森林の有する国土の保全等の公益的機能を十分に発揮させるために不可欠なものであり、造林、間伐や路網整備等を行ってきたところでございます。特に、温室効果ガスの削減目標を達成することは喫緊の課題でありまして、平成20年度においては、平成19年度補正予算も合わせて総額546億円の追加的な予算を計上し、目標達成に努めているところでございます。
次に、子育て、介護の人材確保に関するお尋ねがございました。
保育士やホームヘルパーなど、子育て・介護分野で働く人材には女性の占める割合が高いことから、性別を問わず、その能力を一層発揮できる雇用環境の整備に取り組むことが重要であると認識しております。このため、労働時間の短縮、職場内保育の充実、正規労働者への転換の推進に取り組むことにより、男女を問わず、やりがいを持って働くことができる環境づくりを進め、子育て、介護の人材の確保を図ってまいります。
子育て支援についてのお尋ねがございました。
子育て支援については、働き方の改革による仕事と生活の調和の実現と、保育など子育て支援サービスの基盤の整備の双方を車の両輪として進めていくことが重要と考えております。このため、ワーク・ライフ・バランス憲章の行動指針において初めて労使が合意して具体的に示された残業削減等の数値目標の達成や育児休業制度の拡充などを図るほか、保育サービスの質と量の充実に向けた新待機児童ゼロ作戦を展開してまいります。
また、母子家庭に対する支援については、子育て・生活支援策、就業支援策、経済的支援策などの総合的な支援を進めてまいります。特に就業支援策を強化し、ハローワーク、自治体を通じたきめ細かな施策を充実してまいります。
介護・福祉人材のワーク・ライフ・バランスの実現に関するお尋ねがございました。
保育士やホームヘルパーなどの介護・福祉人材の安定的な確保のためには、ご指摘のように、仕事と生活の調和が図られるような職場環境の実現や、正規労働者と非正規労働者の格差の是正などが重要であると考えております。こうした取組については、さきも述べましたことでありますが、介護・福祉分野で働く人々がやりがいを持って働くことができる環境づくりを進め、人材の確保を図ってまいります。
地方への補助金の見直しについてのお尋ねがございました。
地方分権を進める上で、補助金を見直すとともに、地方税等の財源を充実することは重要な課題であると認識をいたしております。このため、政府としては、現在、国と地方の役割分担や国の関与の在り方の見直しを行うとともに、補助金、交付税、税源配分の見直しの一体的な検討を進めてきておるところでございます。
次に、バリ会議の成果についてお尋ねがございました。
我が国は、すべての主要排出国の参加する実効性のある枠組みを構築することが何よりも重要との観点から、さきのバリ会議ではそうした枠組みの構築のための交渉の場を立ち上げることを最重要課題として対応いたしました。我が国は、具体的な決定案を早い段階で提案するなど積極的に貢献した結果、日本提案におおむね沿った形でバリの行動計画が採択をされた次第であります。2009年の合意を目指し、すべての国が参加して2013年以降の枠組み等を交渉する場の立ち上げに合意できたということは大きな成果であったと考えております。
地球温暖化対策における国内での取組状況についてのお尋ねがございました。
我が国では、京都議定書が発効した2005年に約60項目に及ぶ対策を含む京都議定書目標達成計画を策定し、地球温暖化対策は前進しておりますが、既存の計画による対策のみでは6%削減目標の達成は極めて厳しい見通しであります。そのため、地球温暖化対策推進本部において関係省庁が密接に連携し、今年度中に京都議定書の目標達成計画を改定し、約束したとおり、2012年までの間に目標を達成してまいります。産業界の更なる努力に加えて、温室効果ガスの排出量が増大している民生部門も含めたあらゆる分野において、既存対策の着実な推進だけではなく、法制度の拡充等を通じた対策の強化など、必要な追加対策を国民の協力も得ながら強力に推し進めてまいりたいと思います。
ダボス会議への出席と数値目標の設定を含む発言の予定についてお尋ねがございました。
ダボス会議については出席する方向で検討中であります。G8議長国として、北海道洞爺湖サミットやTICADⅣに向けた我が国の考え方を表明する所存であります。
地球温暖化問題の解決には、世界全体としての排出削減を実現するような実効性のある枠組みを構築することが何よりも重要であります。このことを念頭に、いかなる対応を取るべきか検討中であります。その検討の中で、我が国としても、温室効果ガスの排出削減についてどのような国別の目標をどのような手法によって設定すべきか、多様な選択肢を含め真剣な議論を行っているところであります。本年のサミット議長国として、関係国の議論を取りまとめ、枠組み構築のリーダーシップを取るという立場で臨んでまいります。
我が国の中長期的な地球温暖化対策についてお尋ねがございました。
地球温暖化問題の解決に向け、我が国は美しい星50を提言し、2050年までに世界全体で半減させるという長期目標や2013年以降の新たな枠組みを設計するための三原則を提唱してきました。現在、美しい星50を具体化し、我が国自身の行動や世界に向けての提案を表明する方向で検討しているところであります。
また、御提案の国内排出量取引制度については、他の手法との比較やその効果、産業活動や国民経済に与える影響、国際的な動向等の幅広い論点について総合的に検討してまいります。
再生可能エネルギーについては、更なる技術開発や設備導入支援などを通じまして導入の拡大に向けた取組を加速していく必要があると認識しております。
障がい者の権利に関する条約についてお尋ねがございました。
政府としては、本条約の意義を十分に踏まえ、今後可能な限り早期の締結を目指して、訳文の作成を含め、国連における議論を十分に踏まえて必要な検討を行ってまいります。障がいによる差別禁止については平成16年の障害者基本法の改正において明示されておりますが、差別禁止法制の在り方に関しては条約の締結に向けて必要な準備を行う中で慎重に検討してまいります。
次に、障害者自立支援法についてのお尋ねがございました。
民主党が提出された法案については利用者負担について旧法と現行法の考え方を併存させておりまして、負担の考え方が整合的かどうか、市町村等の事務が無理なく行えるかどうかなどの課題があると考えております。なお、法案の審議の進め方については国会がお決めになることであり、私から申し上げることは差し控えます。
また、障害者自立支援法の利用者負担については、既にきめ細かな軽減措置を講じているところでございますけれども、与党における検討結果も踏まえ、来年度において低所得者を中心とした更なる軽減等の緊急措置を講ずることといたしております。
残余の質問は関係大臣から答弁をさせます。
以上であります。

若林正俊国務大臣
まず、食料自給率の向上についてのお尋ねでありますが、総理がお答えしたとおり、目標の達成に向けて危機感を持って取組を一層推進する必要があるものと認識いたしております。このため、これまでの取組を点検、検証しつつ施策の推進に最大限の努力を行っていくこととしており、特に自給率に影響の大きい米、飼料作物、油脂、野菜の重点品目については、集中的に消費、生産の両面での取組を強化してまいります。
具体的な取組としては、食料自給率に関する戦略的な広報活動、米の消費拡大、飼料自給率の向上、油脂類の過剰摂取の抑制など、野菜の生産の拡大、食育の一層の推進、この6つの取組を中心に、消費者、生産者、食品産業事業者などの関係者との連携を図りながら着実に施策を推進してまいりたいと考えております。
次に、森林、林業についてのお尋ねでありますが、地球温暖化防止、国土の保全等の公益的機能を有している森林を緑の社会資本として位置付け適切に整備していくために、緑の雇用対策などによる担い手の確保、市場のニーズに対応した木材製品の安定供給体制の整備などを進めながら国産材の利用拡大を軸とした林業、木材産業の再生を図り山村地域を活性化していくことが重要であると考えております。
平成20年度における間伐などの森林整備に向けては、森林吸収源対策として、平成19年度補正と合わせて総額546億円の追加的な予算を計上したところであります。その確実な実施を図るためにも、政府一体となって間伐の遅れの解消等を目標とする美しい森林づくり推進国民運動に取り組むなど、国民各層の理解と協力を得つつ森林の整備を推進してまいる所存でございます。(拍手)

冬柴鐵三国務大臣
公共事業についてお尋ねがございました。
国際競争の激化や少子高齢化の進展、さらには大地震や台風等の頻発する自然災害等に対し国土交通省としてもしっかりと対応していかなければならないものと考えております。
このため、平成20年度の公共事業関係予算では、財政健全化に向けた厳しい歳出抑制の中ではありますが、一つ、大都市圏、地域の拠点的な空港、港湾や国際物流に対応した幹線道路網の整備等による国際競争力の強化や、中心市街地の活性化や民間の創意工夫を生かした町づくりの推進等による地域の活性化に重点的に取り組んでまいります。
また、二つとして、住宅の寿命を延ばす200年住宅の推進や、公共交通機関、町づくりにおけるバリアフリー化の推進等の地球環境問題と少子高齢化への対応、三つ、道路橋梁の予防保全対策の充実強化等の国民の安全、安心の確保といった分野における事業、施策を重点的に推進してまいります。
二点目に、八ツ場ダムを建設する理由についてお尋ねがございました。
八ツ場ダムは、1都5県、約480万人の住民の方々の生命、財産を守る治水対策上極めて重要な施設であり、また、1都4県の水需要にこたえるとともに、河川流量が豊かなときには取水できますが、河川流量が少なくなると原則として最初に取水できなくなるような不安定な取水を解消し、安定的な水供給を確保するために、利水上必要な施設でございます。
利根川水系においては、平成8年の渇水を始め、平成になって以降19年間で取水制限等を余儀なくされた年は5年もあります。社会経済活動に影響を及ぼしています。また、近年の少雨傾向によるダムの水資源開発施設の供給能力は低下しているのが現状でもございます。このため、八ツ場ダムに参画している利水者は、合計毎秒約22立方メートル、日量にして約190万立方メートルの水道用水及び工業用水を八ツ場ダムから得ることを表明しているのでございます。
一方、地すべり対策につきましては、専門家の指導をいただきながら、地形や地質などを十分に調査し、対策が必要とされる場所については、押さえ盛土等を実施することにより安全性を確保することといたしております。
八ツ場ダムについては、関係都県と密接な連携を図りつつ、地元住民の方々の意向を十分に踏まえた生活再建対策を鋭意進めるとともに、コスト縮減や情報公開等にも努め、また環境保全にも十分配慮しつつ、できるだけ早期に完成できるよう着実に事業を進めてまいりたいと考えております。
森林の保水力についてのお尋ねがございました。
我が国は国土の約70%が森林であるという世界有数の森林大国であり、森林には地球環境保全機能、保健、レクリエーション機能その他様々な機能があり、森林保全は重要で、適切に保全すべきものと認識をいたしております。
しかしながら、平成13年に発表された日本学術会議の答申でも指摘されているように、森林には、一つ、治水上問題となる大雨が降った場合、森林の土壌は既に飽和状態となっており、降った雨のほとんどが河川に流出する状態となることから、大洪水においては顕著な効果は期待できないこと、一方で、二つ目、利水上問題となるような渇水時、すなわち雨が降らない日が長く続いた場合には、森林の蒸発散作用により森林自身がかなりの水を消費するため、河川の流量がかえって減少する場合があるといった評価がなされているのでございます。
よって、人々の様々な社会生活が営まれており、世界有数の森林大国でありながら毎年のように洪水、渇水の被害を受けている日本の国土の現状におきましては、森林のみでは洪水や渇水を防ぐことには無理があります。したがって、森林の保全と併せて、今後とも必要なダムの整備を図っていくことが不可欠であると考えております。

舛添要一国務大臣
まず、子育てや介護の分野での人材確保の問題です。
これらの分野で働く方々につきましては、女性の占める割合が高いことから、性別を問わずその能力を一層発揮できる雇用環境の整備や、仕事と家庭の両立の推進に取り組むことが重要であると考えております。そのため、短時間労働者の正規労働者への転換の推進や、労働時間の短縮、職場内保育の充実、キャリアアップの仕組みの構築など、雇用環境の改善に取り組んでまいります。
次に、子育て支援、一人親家庭の支援についてお尋ねがございましたが、子育て支援につきましては、先ほど総理からお答えいたしました仕事と生活の調和の実現や、新待機児童ゼロ作戦の展開に加え、次世代育成支援策の再構築に向けた検討に鋭意取り組んでまいりたいと思います。また、母子家庭の母などに対する支援につきましても、総理がお答えいたしましたとおり、就業支援策の充実を始め、自立と生活の向上に向けた総合的な支援を進めてまいります。
次に、介護・福祉人材のワーク・ライフ・バランスの実現に関して問いがありましたけれども、これも総理から御答弁いたしましたとおり、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランス憲章の行動指針で示された残業削減などの数値目標の達成や育児休業制度の拡充など、働き方の改革を進めるほか、改正パートタイム労働法に基づき、正規労働者との均衡待遇の確保などに取り組むことにより、介護・福祉サービスに携わる方々がやりがいを持って働くことができる環境づくりを推進し、介護・福祉人材の確保を図ってまいります。
次に、障害者権利条約、障害者差別禁止法の問題であります。
障害者権利条約は、国際社会における障害者の権利の保護と促進を達成していく上で非常に重要なものであると考えておりますが、厚生労働省といたしましても、外務省等関係省庁と十分に連携を図りながら締結に向けた対応を検討してまいります。
また、障がいによる差別の禁止につきましては、平成16年の障害者基本法の改正により、法の基本的理念等に明示されたと承知しておりますが、お尋ねの差別禁止法制の在り方に関しては、今後、条約の締結に向けて必要な検討を行う中で、関係省庁と連携しながら慎重に検討してまいりたいと思います。
最後に、障がい者の所得保障について、障がい者の所得の確保に係る施策の在り方につきましては、昨年末に取りまとめられました与党障害者自立支援に関するプロジェクトチーム報告書において、障がい者の所得の確保に係る施策の在り方については、就労の支援を含め、幅広い観点から検討を行うこと、社会保障制度全般や一般的見直しに関する議論との整合性や財源の確保を図った上で、障害者基礎年金の引上げや住宅手当の創設についても検討を行うことなどの御提言をいただきました。
これらの提言につきましては、今後、幅広く検討を進めるとともに、来年度予算案に計上した諸事業の活用も図りながら、一般就労への移行促進や工賃倍増5か年計画の取組を進めてまいります。

増田寛也国務大臣 
大河原議員から新分権一括法案についてのお尋ねがございました。
ご指摘の発言は、地方再生、地域の活性化を進めていくためにも地方分権改革をスピード感を持って進めていくことが必要で、政府として取組を加速する必要があるとの趣旨で申し上げました。
政府では、今春以降、順次出される地方分権改革推進委員会の勧告を受けまして、地方分権改革推進計画を策定して、新分権一括法案を平成21年度中、できるだけ速やかに国会に提出をすることとしております。したがいまして、同計画の策定につきましても前倒しの努力をしてまいります。
現在、この分権委員会におきましては、国と地方の役割分担を徹底して見直し、地方自治体に対する国の法令による義務付け、枠付け及び国の関与の見直しや地方税財政基盤の確立に向けた国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含めた税源配分の一体的な改革、そして地方支分部局の抜本改革などについて精力的に検討しているところでございます。こうした地方分権改革を具体的に実現していくものがまさにこの新分権一括法案であると、このように考えております。
地方が自ら考え実行できる真の分権型社会の実現に向けまして、私は昨年まで地方自治の現場で仕事をしてまいりましたが、今後担当大臣として最大限の努力をしてまいる考えでございます。