第174国会 2010(H.22)年3月19日「国土交通委員会」

Q1 水利権と取水実績の水量差について
▼大河原:

衆議院での八ツ場ダムの集中審議を拝見し、都議会議員時代から首都圏の水問題に取り組んできた者として、ぜひ確認したい点がある。
配布した資料は、私が、利根川水系の水利権の設定状況と直近の取水実績を国土交通省に資料請求をしたものです。
これによると、水利権の合計は毎秒約806立方メートル、取水実績は毎秒約707立方メートルで、この差は毎秒99立方メートルです。この通りでよいですか?
△馬淵澄夫副大臣:

国土交通省、この利根川水系におきます地方自治体、水資源機構等45主体、許可した取水量の最大値合計は、平成21年3月31日現在で毎秒806立法立方メートル、平成20年の取水実績は、平均取水量、これは最大値を合計すると707立方メートルで、その差はご指摘の通り毎秒99立方メートルです。
▼大河原:

表の通り、この水利権には暫定水利権も含まれており、毎秒約35立方メートルです。資料に示したように、仮にこの暫定水利権を安定に変えたとしても、安定水利権は毎秒約772立方メートル、取水実績は707立方メートルですので、64立方メートルの余裕があるわけです。ご確認ください。
△馬淵澄夫副大臣:

委員の計算に従い、安定水利権の許可取水量の最大値合計毎秒772立方メートルから毎秒707立方メートルを引き64立方メートルです。

Q2 水余りと暫定水利権の解消について

▼大河原:45の利水者がおり、東京や埼玉の水余りがよく指摘されますが、利根川水系の水余りを確認するためこの資料を作成しました。

毎秒64トンとは、1人1日400リットルの利用と少し多めに見積もったとしても、1400万人分に該当します。東京都の人口は1300万人未満であり、東京の人口以上の水が余っていることになります。利根川水系全体で見れば、水は十分余裕があります。八ツ場ダムがなくても、少なくとも暫定水利権は解消できると思いますが、大臣としていかがでしょうか。
△前原誠司大臣:

私も野党のときに木曽川導水路を取り上げて、今のような議論をした。最大取水量と水利権で設定されているものの差をしっかり見ながら計画を見直すべきは見直すという考え方について、私は基本的には大河原議員の意見に賛成です。
ただ、利根川水系は非常に流域が広く、どこで足りて、どこで余っているのかを、かなり精査する必要があります。
したがって、実際にどれぐらいミスマッチが起きているのかの精査も行わなくてはいけません。そういう意味において、この地域の表は一応あり、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京では、発電、上水、工水、かんがいで、ここのばらつきがあるわけです。今議員の言われたミスマッチが解消できるかどうかは、その地域の利水状況を見て判断しなくてはいけない面もあることをご理解いただきたいと思います。

Q3 効率的な水利用システムの構築について

▼大河原:

45の利水者の状況がそれぞれ違うので、実態ときちんと照らし合わせていくことは必要だと思います。
発電用の水は、使用後も水は減らないので、発電利用として考えれば、より水が余っていることは確実で、その点は心配いらないかと思います。
東京都の場合、今200万トン近くが余っており、水系全体で見ても、1400万人分の水が余っている状況は確認できると思います。
どれだけ水を使い、必要としているかをきちんと把握することは非常に大事で、新しい手法も求められますが、これまでの慣行水利権の把握をするだけでも、もっと余裕が出ると思います。
国土交通省は、既に流域全体での効率的な水管理の必要性を認め、平成21年度の水資源白書では、わざわざ「総合水資源管理の推進」という章を設け、具体的に記述をしています。この点、効率的な水利用のシステムを構築すべきと思いますが、大臣はいかがでしょうか。

△前原誠司大臣:

今、大河原議員が指摘をされたように、総合水資源管理という考え方は平成20年10月に中間取りまとめとして公表されたものです。平成21年の「日本の水資源」において紹介されているのはご承知の通りです。
この総合水資源管理とは、水を持続的に活用できる社会の実現と健全な水循環系の構築を目指して、水量と水質、平常時と緊急時、地表水と地下水・再生水、上中下流の利害、現在直面している課題、将来予想される課題等を包括的、一体的にとらえて、国、自治体、住民などあらゆるレベルの利害関係者の連携協力の下、効率的な水利用を推進しようとするものです。
したがって、こういったものは常にしっかりと調整をしながら、より効率的な水利用というものを進めていくことが大事だと考えます。

Q4 ダムに頼らない利水について

▼大河原:

では大臣は、自治体にばらつきはあるけれども、この水の総合管理がうまくいけば、ダムに頼らない利水も可能だとお考えと思ってよろしいか。
△前原誠司大臣:

基本的な考えは、今までの水利権の在り方というもの、省庁縦割りで極めて融通が利かない、ただし今申し上げたような総合管理の手法を取り入れてきて農業用水を他に転用してきているということもあり、そういう意味では進んできている面もありますが、更にそういった水利権の縦割りの弊害と効率的な相互融通というものを進めていくということが大事だと思っております。
いずれにしても、現在、ダムに頼らない治水対策の有識者会議で、治水と利水をこの利根川水系の評価軸も併せて考えていただいております。それらの結果を踏まえ、みなさん方に議論に供するテーマとして提供したいと考えています。

Q5 総合的な水管理の方法について

▼大河原:

有識者会議は、なるべく公開して欲しいと思います。衆議院でのご答弁で、大臣はこれまでの治水哲学を変えると言われ、政務官もフルプランも利水の面も見直しの議論をすると言われたので、信頼申し上げています。湯水のように使うという言葉がありますが、貴重な資源を有効活用するという新しい政権の下での方針をしっかりと打ち出していただきたいと思います。
先ほど述べた総合的な管理を誰がするかの提案をさせていただきます。利根川・荒川水系でいえば水資源機構です。旧水資源公団もあり、流域ごとにこれを解体して、ダムを造るのではなく、流域のための、水を管理するための組織として再編成すべきと思います。

将来的には自治体の組織の中に入れる方法もあるかと思いますし、渇水が心配であれば、万が一渇水になったときに自治体間、利水者同士で水の調整をするルール、こういったものも作らなければならないと思います。

場合によっては、金銭的なやり取りをルール化することで、節水した自治体は得になる…節水のインセンティブができるような手法も、新たな方法だと思います。
新たなダムで利水をするより、渇水調整時の財政支出の方がはるかに安くて済みます。季節による季別水利権の認める水利権の弾力化なども検討に値すると思っております。
自治体にとってもプラスとなるような新しい方向性で見直していただきたいと思います。最後に、こうした方向性について決意も含めて伺わせていただき終わります。
△前原誠司大臣:

大河原委員から、水資源機構を流域ごとに解体してという大胆な提案もいただきましたが、水資源の開発よりは、今完全に管理に移行しておりますし、そういう意味では、先ほど委員が言われた総合水資源管理をしっかりやっていくべきだと思います。また、解体、水系別に分割などしなくても、お互いの見識なり教訓を共有して、より効果的な水資源管理を行っていく上では、別に水系ごとに分割をしなくてもいいという思いを持っています。しかし、委員がおっしゃる徹底した効率化をという趣旨は、私も同じ気持ちを持っております。
また、季別水利権の話など、今までの自公政権のときの、ある程度の運用改善はされておりますけれども、聖域なくこの水利権の在り方についてもしっかりと議論し、現在、治水の新たな評価軸も作っていただいておりますが、利水についても新たな評価軸を作っていくという意味において、水利権をタブー視せず、しっかりと議論していきたいと考えております。
▼大河原:

地元のみなさまのお気持ちに沿いながらも、新政権の下で、ぜひ新しい哲学を生み出し、確立していただきますようよろしくお願いします。