第174国会 2010(H.22)年4月8日「農林水産委員会」

Q1 アメリカ農務長官との会談内容について
▼大河原:
来日中のアメリカ農務長官との会談内容について、ご紹介ください。

△赤松広隆大臣:
課題は3つ。
一つは、食料安全保障について、特にアフリカ等の飢餓に対する対応も含めて日米両国はどうやってそれに貢献していくか。
二つ目が、農業問題は環境問題という立場で、両国が協力してやっていこうということ。
三つ目は、牛肉問題で、アメリカ側から20か月齢未満についてとSRMについて見直してほしいという話がありました。これについては、これまで食の安心、安全の問題、科学的知見に基づいた形での食の安全を大切にしていく姿勢は変わらない。アメリカの言い分としては、今まで共和党政権の下でOIE基準に基づいてすべてオープンにするべきと言っていたのを、民主党のオバマ政権の下ではもう少し柔軟に考えていきたいのでぜひ話し合いをさせてほしいというご意見でした。
日米関係は重要で、話し合いを拒む理由はなく、お互いの違いを認識した上で、どうやったら一致できるのか、そういう議論を大いにやりましょうと、今後の友好親善を更に深めていこうということを結論にして、本日取りあえず会談は終わりました。
▼大河原:
日米関係は大変大事です。しかし、これまではアメリカの食料世界戦略のもとで、日本が食料主権というものを十分に発揮できていないのではというのが、多くの国民の感想ではないかと思います。慎重かつ断固たる姿勢でお願いします。

Q2 「食料・農業・農村基本計画」の特徴と今後の農政について
▼大河原:
私は、この基本計画、策定の過程も含めて評価しております。政権が替わるとは「こういうことなんだ」と実感する内容となっています。新政権下で策定された今回の基本計画の特徴について、これまでの農政の総括、今後の農政について、大臣に伺います。

△郡司彰副大臣:
基本計画の策定では、政策研究会のみなさまにも議論、提言をいただき感謝しております。
前基本計画の下では、食料自給率の目標は、平成27年度に45%という設定です。そして、施策対象の担い手を明確化した上で、経営の安定を図る経営所得安定対策の導入を推進してきたと思っております。
しかし、結果として、農業所得の減少、担い手不足の深刻化、非効率な農地の利用、農山漁村の活力の低下といった農業農村の厳しい現状を変えるには至っていません。(今回の基本計画は、)これまでの施策ではないものを行うことによって、活力のある、将来に希望の持てる農業にしていこうという認識で作らせていただいた。
この新たな基本計画においては、食料・農業・農村政策を日本の国家戦略の一つとして位置付ける。具体的には「戸別所得補償制度の導入」「品質、安全、安心といった消費者ニーズに合った生産体制への転換」「六次産業化による活力ある農山漁村の再生」の3つの柱を基本に、食料自給率を50%まで高める目標を定めた。
また、食料、農業、農村を支える農業農村を国家の基盤として将来の世代に確実に継承していくために、農業者、消費者、その他の国民全体の努力で農業・農村を支える社会を創造していくという国民全体へのメッセージも盛り込んだ。また、大河原委員からのご指摘等により、都市農業という項目も新たに加えさせていただいた。

Q3 食品安全庁設置とその役割について
▼大河原:
この農政の転換を、国家戦略と言っていただき、本当にうれしく思います。これまでの日本の農政は間違ってきたと思います。
昨年の農水委員会で、石破前農水大臣と議論をさせていただいたとき、石破前大臣が消費者の声はここ(同委員会)で初めて聞いたと言われ、余りにもショックでした。命をつなぐ食料を、量はもとより安全性も含め確保し自国の国民に提供することは国の仕事です。主食の米を守るという大義名分の下で、米以外は足りなければ他国から買えばよいという姿勢で、自給率は低下し、極論すれば食卓の上は輸入品だらけです。生産者の顔が見えないものが食卓にのる不安を抱えているのが、私たち日本の国民だと思います。消費者から十分理解され支持される農政への転換でなければいけないと思います。
消費者の立場から「食の不安」を解消するために、民主党のマニフェストには「食品安全庁」を掲げておりました。今回の基本計画にも、第三章の一項(1)に、食品の安全性の向上にリスク評価機関の機能強化、リスク機関の一元化が示され、食品安全庁が記述されております。
関係省庁の連携がもちろん必要ですが、食品安全庁に求められる役割と、設置に向けた検討、いつからどういうふうに進めていくのか、その点をまずお聞きしたいと思います。

△赤松広隆大臣:
確かにご指摘のとおりで、今度の基本計画にしっかりとこれを書き込みました。
1番のポイントは、リスク管理を厚生労働省と農林水産省のふたつが行い、福島担当大臣の下でもリスク評価をしているが、管理を1つの機関でやっていく(という点である)。どっちがどっちにつくというレベルの話ではなく、まさに政府を挙げて食の安心、安全のための機関をつくり、そこが責任を持って一元化された形での運営をしていくのが狙いです。
他省庁からも快く了解をいただきました。あとは具体的な(政策)に向けスタートしたい。原産地表示等の問題も含め、総合的な食品安全問題を考えながら、関係省庁とピッチを上げて話合いを進めていきたいと思っております。

Q4 加工食品の原料原産地表示の義務付けの拡大について
▼大河原:
食品安全庁の設置まで書き込むまでに、本当にご努力いただいたところですが、これからがスタートです。食品安全庁設置の検討は、先ごろ策定されました消費者基本計画の中にも書き込まれており、多くの注目が集まっているとことをぜひご自覚いただきたいと思います。
食の安全、消費者の選択の権利を守るには、表示が重要です。これまでも取組は強化されてきましたが、加工食品の原料原産地表示の義務付けの拡大の方向性と課題について、消費者庁の泉政務官に内閣府からおいでいただいております。いかがでしょうか。

△泉健太大臣政務官:
加工品の原料原産地表示は、平成13年以降着実に進めているところです。先日の3月29日にも、情報収集の一環として、事業者、食品関係団体のみなさんからご意見をいただきました。
その中の意見で、特に有名産地の生産者側からは、原料原産地表示をもっと明確にしていく方向でやっていただきたいというご意見もありました。一方、加工業者側からは、いろいろな原材料を使っている状況の中で、すべて表示できるかという懸念があり、もう少し業者それぞれの自主的な取組で当面行っていくべきではないかというようなご意見も出されました。また、黒糖、リンゴジュース等の個別品目について、表示の義務付けが必要という意見があった一方で、調達の実態から表示が困難であるという意見もありました。
しかし、こういう各業者あるいは産地、いろいろなところからのご意見をいただいて、できる限り表示の方向で、今後更に進めていきたいと考えています。

▼大河原:
消費者にとって表示は、商品を選ぶときの大きな基準です。しかし、日本の表示は分かりにくい。消費者にとって、選択の権利を十分に満たすものにはなっていません。
例えば、同じカップラーメンでも、日本では25項目の記述ですが、韓国では45項目も記述されています。加工食品の原料原産地表示の拡大をしっかりと進めていただきたいと思います。

Q5 「食料・農業・農村基本計画」に「都市農業」を加えた意義について
▼大河原:
私は、どのように都市農業-市街化区域内の農地を保全していけばよいか、長年疑問に思っていました。
旧政権下の基本計画に都市農業という言葉が出てきただけでうれしかったわけですが、今回は都市農業の項目が設けられたことが、非常に大きな転換だと思っています。
(愛知県選出で)都市農業を理解できる大臣として、この都市農業の項目への評価と、どのように旧来から変えたのかをお聞かせください。

△赤松広隆大臣:
大河原委員ご指摘のとおり、都市農業の果たす役割、意義、また大消費地を控え輸送費(が抑えられる)、消費者のニーズが直接伝わりやすいなどの面で、都市農業は収益性の高い産業として伸びる要素があると確信しております。また、都市における水、緑、環境における多面的な役割を十分果たすことにもなると思っております。
研究会を一緒にやっている榊原先生の言を借りれば、「地産都消」というんですね。地域で作ったものを大消費地である東京都都民に食べてもらわなければ、農業の、特に近郊都市農業の発展はあり得ないと言われます。すべての面にあたるとは思いませんが、確かにこうした都市農業、近郊農業では大きな役割を端的に表した言葉だと思います。もちろん全国津々浦々すべての農業者のために農林水産省は頑張りますが、決して都市農業を忘れていない、ちゃんと中心に据えて頑張るということをぜひご理解いただきたいと思います。

Q6 市街化区域内の農地維持の政策について
▼大河原:
一昨日の当委員会の都市農業の視察では、現地を見てイメージがつかめたというお声もいただき、大変うれしく思っております。9万ヘクタールしか残っていない市街化区域内の農地を実感していただけたかと思います。
市街化区域内の農地については課題が山積しております。減少し続ける市街化区域内の農地を維持するための課題、解決すべき課題は何だとお考えでしょうか。

△郡司彰副大臣:
委員もご存じのように、市街化という区域は、その目的からすれば限られた年月のうちに市街化をしていくという規定がそもそもあったところです。その中で農業を続ける場合には、生産緑地等の指定を行いながらいろいろな対策を取ってきており、国交省、農水省が土地の利用計画をばらばらに行ってきたことを、もう一度見直す必要があると思っております。
先ほど大臣が言われたように、今の時代になってみれば、都市の農業への評価は非常に多方面にわたっており、まさに人間が生存する上では、そうした空間あるいは土地に触れるということ自体が大変に人間性を取り戻すということにもつながるというようなこともはっきりしてきたわけであります。
そのような観点から、都市の中にある貴重な農地という認識で、改めて各省庁の枠を超え、土地の利用問題について話し合うということが必要だと考えています。

▼大河原:
生産緑地法ができた時には、私が住んでいる世田谷区でも農地の54%が登録されていました。しかし、登録できなかった一般農地は減り続けています。
国土交通省の所管の生産緑地制度は、やはり基本的には宅地化(が前提)ですので、そこには大きな矛盾があります。農地を農地として残すことを、今回のこの計画、制度の見直しの中で、各省の知恵をもって検討されなければならないと思います。
視察の中でも現地の方々が、これは時間との闘いだとおっしゃっていました。過酷な相続税、都市の宅地並み課税による莫大な固定資産税は、非常に大きな問題です。ぜひとも、食料生産をしている現場だという視点を必ず持っていただきたい。今年も国土交通省は都市農地に関する調査を行うようで、農業の多様な機能としてオープンスペースとかは書いてありますが、「生産している現場」という視点が落ちております。農水の関係の視点をしっかりと植え込むことが何より必要と思います。
税制の改革に極まると、それなくしてはできないことはもちろん周知の事実ですけれども、都市農業の農家一人ひとりは高い技術を持っておられ、長年耕し続けてきた畑は本当に優良な農地です。これを失ってはならないと思っております。
前の基本法の中でも、市民農園で守っていくと書かれておりますが、市民農園は農地ではなく雑種地です。農地としての守り方を、新たにしっかりと組み替えていかなければなりません。
高齢で営農困難な方への支援策をどのようにお考えか、副大臣にお願いします。

△郡司彰副大臣:
多分税制の問題にもかかわってくると思います。
今ある農地を耕す人がいなくなったときにどうするかは、都市だけではなくて全国的な大きな課題ですが、特に都市については、税制の問題と裏腹の問題があり、この問題について、まず実態調査から始めなければいけないと思っております。
そして、今ちょっと言及がありましたけれど、例えば家庭菜園というか、都市農園の今までのこの概念みたいなものがありましたけれども、例えば東京でも作物によりましては3か月分の野菜等を賄っているという生産の能力もあり、まずそのような実態を調べ、具体的な手というものが、例えば税制の問題あるいは国土交通省の問題ということではなく、農水省としてまず何ができるかの調査をしていただきたいと思っております。

▼大河原:
大変良いご答弁をいただきました。実態をしっかりと把握していただくことはまずスタートラインです。相続税の猶予認定、これの介護度5というのは非常に厳し過ぎると思っています。中小企業の経営者のみなさんと、農業者の働き方は違うというのが私の実感です。
最後に大臣に伺います。参議院・財政金融委員会で3月23日には菅副総理・財務大臣が、「改めて都市農業を位置付け直すことが今問われているので、それに見合った税制の在り方を考え直さなくてはならない」と発言され、3月25日には鳩山総理も「菅副総理と相談しながら積極的に進めていきたい」と発言されました。
今日は、赤松農水大臣から、この改正、制度の見直し、農地を農地として守っていくという決意をぜひ聞かせていただいて、質問を終えたいと思います。

△赤松広隆大臣:
ふたつあると思います。
ひとつは、今ご指摘のあった税制の問題で、幸いにして、菅副総理・財務大臣がそうおっしゃっているので、財務省もしっかりと私どものいろいろな提案を財源措置も含めて対応していただけるのかなと喜んでおります。
ふたつ目は、土地の問題です。今まで簡単に転用を認めており、マンションが悪いとは言いませんが、本来農地として有効に使われるべき土地がそうしたものに化けてしまうことは大変残念で、これについては、昨年、農地法の改正を行いましたので、優良農地についてはそれを守るために、厳格な農地法の適用を行っていきたい。
そういう意味で、先日、閣内でも議論になりましたが、何でも権限を地方に下ろせばうまくいくという考えは、私は誤りだと。下ろしていいものはいっぱいあるが、下ろしてはいけないものもある。それぞれの地域が勝手にやるのではなく、国がやはり厳格に法律に基づいて農業用の農地としてしっかり守るべきものは守っていくと。これはあたり前のことで、そういうことも含めてしっかり私どもは言うべきことを言い、やるべきことはやって農水省としての役割を果たしていきたい、このように思っております。