第177国会 2011(H.23)年8月5日「決算委員会」

Q1 「利根川流域分割図の情報公開請求訴訟」の判決について

▼大河原:

今行われておりますダム検証にかかわることを質問します。
8月2日に東京地方裁判所で、八ツ場ダムの治水上の必要性の有無を検証する上で欠かせない利根川流域分割図の情報公開請求訴訟の判決がありました。国が直ちにこれを開示すべきだという原告の全面勝訴の判決であったわけで、直ちに開示をしていただきたい。まして控訴などということはお考えになっていないと思いますが、ご見解を伺います。

△大畠章宏国土交通大臣:

ただいまの件でございますが、ご指摘のように、今回の裁判においては国の主張というものが裁判所の十分な理解を得られませんでした。今後の方針については、現在、関係機関と協議を進めているところでありまして、引き続き判決の内容等を十分検討し、今後のことについては決定をしたいと思います。
なお、利根川の基本高水の検証において日本学術会議に学術的な観点から評価を依頼しておりまして、日本学術会議の委員の皆さんには今回の判決のベースとなりましたこの資料についてはお示しをし、ご覧いただいた上で審議をしていただいているということも併せて申し上げさせていただきたいと思います。

▼大河原:

判決は、行政機関の意思決定前の情報だからと当該事項に関する情報を全て不開示にすることになれば、政府が諸活動を国民に説明する責務を全うするという情報公開法の理念と相反するという大変厳しい判決です。
学術会議でもその場限りでご覧になることだけ許されたということですが、予断なき検証をしようという中で、直ちに開示をして、多くの方々の目に触れても問題がないという判決文です。原告やあるいは住民側も、この分割図があれば改めて再現計算をすることが可能になりますから、ぜひご決断を即いただきたいと思います。いかがですか。

△大畠章宏国土交通大臣:

この問題は、八ツ場ダムに限らずほかのダム等々とも連系しているわけで、そういう観点から、例えば私も県会議員時代にどこを道路が通るんだろうかと、こういうことに非常に関心を持つ方々もおられるのも事実であります。そういうことを開示しますと様々な動きをする方もおられますので、なかなかここのところは全部を、計画関係を開示するというのが難しいということもぜひ現実問題としてご理解をいただきたいと思います。
そういう観点で、学術的に用いる、純粋に用いるという意味では、この委員の皆さんには全ての情報を開示してご検討をいただいておりますので、そういうことを踏まえて、今回の判決の内容等を私としても、今ご指摘のように、これは司法の一つの判断でありますから、これを厳粛に受け止めながらも、今後どうすべきかを慎重に検討しているところであります。

▼大河原:

情報公開は、民主党の、また新しい政権の大きな柱です。今、国会に上程されております情報公開法の改正案でも、五条の五号にあった「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」をなくした改正案が出されています。この改正案が通れば、必ず開示請求されたら出さなければならないという立場に政府は置かれます。そのことをぜひお含みおきください。

Q2 日本学術会議の河川流出モデル・基本高水検証分科会について

▼大河原:

次に、日本学術会議の河川流出モデル・基本高水検証分科会について伺います。

この分科会で高水の再計算をしてほしいと国土交通省から依頼をされたわけです。ここでは、従来から用いられている種々の河川流出計算モデルの課題整理、新たに構築されるモデルについての科学的な評価、また、過去の雨量、洪水実績などのデータについて妥当性を評価した上で、基本高水に関する考え方を具体的事例の検証を用いながら整理することが設置の目的とされています。この設置目的からすれば、国民としてはその結果に大いに期待し、これまでとは違う結論が出てくるのではないかと思っておりました。
ところが、ここに再提出されております国土交通省からの再計算、再来計算の値、このことを説明するために出された国土交通省からの補足資料では、再計算では実績流量が八斗島の地点で公称毎秒17,000トン、そしてこれまでの再来計算では21,100トンということが新しく出されました。差が4,000トンもあるわけですが、非常に分かりにくく、説明も十分にされておりません。
補足資料を国土交通省が出されましたが、地域を歩いてらっしゃる研究者・新潟大学の大熊先生が資料2の記事の通り(国交省の浸水図は不正確だと)ご指摘のように、それは高台まではんらん推定区域に入るとされたデータで、言わば国土交通省の捏造だと私は思います。
これは群馬県の浸水図を基にして国土交通省が補正をしたという形です。この補正は誰の指示で、これが誤りだと指摘されて今どのように対応されるのか。

△大畠章宏国土交通大臣:

今お示しをいただきましたこの新聞記事等も読ませていただきましたし、今回のご質問ということで私も事務当局から、山のところを平地とか、山のところを谷とか、そういう、何といいますか、事実に反するような計算をして数量を出しているとしたらそれは問題であるという認識は大河原議員と同じであります。

したがって、いろいろとお話を、背景を聞きましたが、この多分議員がご指摘の資料というのは、昭和22年9月の洪水のはんらんの推定をした地図というものを示しておられるものと思います。その地図を私も見せていただきましたが、言ってみますと、現地に入っておおよそのはんらんの範囲をメモした正確な地図というよりも、メモ的に記録をしたような地図でございました。したがって、それをベースに計算に用いたとすれば、それは私も問題だと思うんです。そこで、いろいろ話を聞きますと、その昭和22年9月の洪水のはんらん量、はんらんの地図というものは参考資料であって、これを計算に用いたのではないと、こういう話でありました。
ちょっと複雑な話になってきてもおりますので、事務当局からこの件については事務方としてのその状況を、事実関係を報告させていただきたいと思います。

▼大河原:

結構です。

もし、その事務方が塗り間違えたということなら事務的な間違いでしょうが、データとしては誤りだということです。そんな誤ったデータを日本の知恵を集めた学術会議に提出をした、このこと自体は許されることではないと思いますが、どうですか。

△大畠章宏国土交通大臣:

重ねてのご質問でありますが、実は私もなぜそういう不確かな情報を出したのかということを事務方に聞きましたら、これは学術会議の方からぜひそういう情報も含めて出してほしいということでお出ししましたが、この資料をベースに計算値には用いておりませんと、あくまでも参考資料として提出したものでありまして計算に用いてはおりませんと、こういう話でありました。

したがいまして、私も更に精査をしたいと思いますが、できれば一生懸命頑張ってこの問題に取り組んでいる事務方からも一言聞いていただければと思います。

△政府参考人(関克己君)

今ご指摘の地図は、昭和22年当時、洪水の後に群馬県の皆さんが調べて、どの範囲が水につかったかという唯一の資料でございます。よって、当時の洪水の範囲、はんらん量を当たるという意味では、この資料をおいて他の資料がないということで使わせていただいた。

なお、これそのものを計算に使ったりしているということではありませんので、あくまでも補足的な別の参考資料という位置付けで整理したというふうに考えております。

▼大河原:

だから、群馬県が作ったその浸水の地図そのままでいいじゃないですか。それを補正するところで、誤った補正をするということに私はすごく恣意的なものを感じます。それはすごく変ですし、そのことによって、学術会議での議論が科学性はどうなのか、信憑性があるのかという疑問を持たされてしまうということ自体に国土交通省は責任を感じなければいけないと思います。

学術会議からの回答書はいつ届くのでしょうか。

△大畠章宏国土交通大臣:

日本学術会議の回答書でございますが、利根川の基本高水の検証について今年1月に国土交通省から日本学術会議に学術的な観点からの評価を依頼し、6月20日に第11回の分科会が終了し、今後、日本学術会議においていろんな観点から検討をしていただいておりまして、それがまとめられた後に回答書をいただくものと考えております。

いつという日にちがまだ定かではありませんけれども、今日ご質問等もいただきましたので、更にこの問題について、大変大事な課題でありますので、早急に回答をいただくように私どもの方からも要請したいと思います。

▼大河原:

日本学術会議はさすがに日本の粋を集めた学者さんが集まっておられて、1回目のときにこの高水の結論を出していくに当たって公開性は十分に取るとおっしゃいました。そこに出されるデータはもちろん正確なものでなければなりませんし、それに基づいていろいろな意見が出た結論を、学術会議自身が最終的には一般の国民に対し説明会も行うとおっしゃっています。その説明会が8月2日だったものが延期されています。分科会自体は9月30日までの時限設置ですので、今出されている回答骨子はホームページで見られますが、この中身は非常に重要だと思います。

その中で、本分科会では不十分な情報しか提供されない中でやってきたとまず書かれています。国土交通省が出すデータについて本当に十分出し切ったのかと、非常に不満、疑問を持っております。
大畠大臣は、ここから出される高水問題だけではなく、全ての治水、利水、地質、社会的な状況、様々なところから総合的に判断をするという最終責任者です。結論を出す前に大臣として国民に向けて公開の公聴会、シンポジウムとかをきちんとやるべきだと思いますが、そのような開催を予定していただけないでしょうか。

△大畠章宏国土交通大臣:

大河原議員がご指摘のように、一つの政治の大事な視点は情報公開でございます。できる限りの情報は国民に開示をし、正しい判断をいただきながら政治を判断していただかなければなりませんので、私どもとしても、このダムの問題に限らず、あらゆる課題については、できるだけ国民の皆さんにご理解いただけるような形で事業が進められるように努めてまいりたいと思います。

▼大河原:

私がなぜこのことにこだわるかといいますと、八ツ場ダムに関して言えば、建設推進を強く言われる方々がおられるわけです。その方たちの論拠の中には、この学術会議の検証も、それから有識者会議が示されたダムによらない治水というところでも、必要性ということについての総合的な評価がいまだなされていません。

例えば、東京都で水が150万トン以上余っていることをもってしても、利水のためにダムが本当に必要なのかという検証はされていません。それでも東京都からは、ダムを建設すべし、地元の人の声を聞け、というような声しか上がってこないわけです。利根川の流域では、堤防の脆弱化、堤防自体が弱いので何度も漏水が起きる、28回も漏水が起きているところまであります。それでも、そこの自治体の方々は八ツ場ダムを造ってくれとおっしゃる。ダムができるのは何年か先で、200年に1回の洪水が起きたときの効果は示されていますが、日常的な洪水被害への対応は手薄です。
そして、八ツ場ダムの必要性をおっしゃる中に、今の原子力事故の電力供給の問題で、そこに造られる発電所に過剰な期待を持つ方がおられます。
私も何度も質問主意書を出しておりますが、八ツ場ダムは吾妻川に既に24か所発電所があります。そして、ダムの下流の2か所については、八ツ場ダムが完成しダムに水がたまるときには発電所に回す水が少なくなるので、東京電力に対し発電量が少なくなるための補償をしなければなりません。それは建設費の他に支払うもので、幾らになるのかと毎度伺っておりますが、それは民間との交渉事なのではっきり言えませんとおっしゃいます。
資料3の通り、群馬県営の八ツ場発電所の出力は11,700キロワット、年間で4,100万キロワットです。下流で影響を受ける、つまり減らされる発電量よりも小さいわけです。そのことも尋ねても今回も答えはご用意されなかった。
八ツ場ダム建設のためにいろいろな理由付けがされますが、確実な必要性、科学的な必要性の検証はいまだ行われておりません。発電所について貢献度はありませんので、私からもきっぱりとこの点は明言したいと思います。
八ツ場ダムは、下流の発電に大きな影響があり、減電補償費は更に事業費を大きくする、そのことを申し上げて、質問を終わります。