第180国会 2012(H.24)年7月30日「決算委員会」

▼大河原:

昨年2月、決算委員会から会計検査院に(大規模治水事業について)検査要請を行いました、その報告に基づいて質疑いたします。

「コンクリートから人へ」という民主党の思いは、これまでの発想ではない治水、あるいは本来あるべき公共事業の姿を浮き彫りさせることだと思います。

会計検査院が平成22年段階で国土交通省また独立行政法人の水資源機構、建設事業を実施している47のダムについて検査したところ、様々な問題点が明らかとなりました。

事業の実施状況を見ますと、例えば熊本県の立野ダムでは、22年度までに418億円の事業費を執行し、当初事業計画の98.5%の執行率です。しかし23年9月に事業費は905億円に引き上げられております。同じような形で、3つのダムではいまだ事業が完了していないのに計画上の期間を過ぎている状況になっておりました。

事業費の執行率が100%近くになってから突然事業費を大幅に上げたり、又は計画の事業期間が過ぎているのに延長が行われないまま事業が継続されたり、何とも不可解なことだと思います。適時適切な見直しが行われてこなかったと思いますが、まず国土交通大臣のご所見を伺います。

 

△羽田雄一郎国土交通大臣:

平成24年1月に会計検査院より国会に提出されました大規模な治水事業に関する会計検査の結果に関する報告書においては、「ダム建設事業等について、計画事業費や事業期間が事業の実施状況を反映したものとなるよう、適時適切に事業計画の見直しを行うこと」とされ、立野ダムや戸草ダムについても事例として示されているところであります。

現在、事業実施中のダム建設事業については、平成22年度より全国83事業を対象として予断なく検証を実施してきているところであり、その中で、総事業費、工期など計画の前提となっているデータ等についても詳細に点検を行ってきているところであります。

これらの事業については、総事業費や工期の見直しも含め、今後、検証の結論に従って適切に対応することとさせていただいております。

 

▼大河原:

事業費の推移について見てみますと、奈良県の大滝ダムは当初の計画から比べると15.8倍の事業費になっており、2倍以上に増加しているダムも9つあります。

ダム本体の容量は変わらないけれども事業費ばかりが上がり、物価上昇とか地すべり対策の工事、追加を入れても大滝ダムの15.8倍というのは余りにもひど過ぎます。見直しのプロセスに何の歯止めもないと思わざるを得ません。この点について、大臣、いかがでしょうか。

 

△政府参考人(関克己君):

大滝ダムの事業費の増大につきましてご説明させていただきます。

大滝ダムは、昭和34年、伊勢湾台風を契機とし、紀の川水系、ご指摘の奈良県でございますが、川上村に設置することを目的としてこれまで進められてきたものです。昭和37年に実施計画調査に着手して以降、地元の皆様との合意形成等に期間を要しておりましたけれども、現在は、ようやく試験湛水を終え、ちょうど運用を開始したところでございます。

ご指摘の総事業費の増加につきましては、約40年間の事業期間における物価上昇を始め、特にこの物価上昇が一番多い要因でございますが、それから貯水池斜面における地すべり対策工事、それから用地調査等に伴いまして用地補償費の増額、あるいは生活再建対策の追加によるものでございまして、こういったことを理由に、総事業費の見直し等に伴って段階的に手続としての基本計画を変更してきたものでございます。

当初の事業費については、その時点における情報を基に適切に算出されたものであると考えておりますが、いずれにいたしましても、総事業費を含む基本計画の作成、変更に当たりましては、関係知事等の意見聴取、関係機関との協議等、特定多目的ダム法、いわゆる特ダム法に基づく手続を行ってきたところでございます。

 

▼大河原:

不適切な場所に造ってしまって大きな災害が起こるというようなことがあっては困ります。非常に危機感を感じています。

日本は小さな島国ですが、3000にも及ぶダムがある。アジア・モンスーン地域の急峻な地形に3万本もの川がありますが、近代河川工法に対する懐疑が出てきているのではないでしょうか。

関係資料の保存年限についていえば、改革がなされてきたと思いますが、情報を出せるようになったのでしょうか。

△政府参考人(関克己君):

これまで、ご指摘のように、ダム事業の、あるいは事業の工期ということについては、その段階において変更を行ってきたところです。一方で、過去に事業計画の変更を行ったダム等につきましては、その変更要因については、なぜ変えざるを得なかったのかということについては把握しているものの、行政文書の管理に関する制度、これは平成13年に法律ができ明確化したところでございますが、それ以前の資料については必ずしも整理されていたものではなく、既存の関係資料からは詳細な増額の内訳等について明確に示せないという状況になっていたことは、先生ご指摘のように事実でございます。

現在におきましては、ダム等の事業計画の変更にかかわる資料も含め、これは国交省の行政文書管理規則というものを明確に定めておりまして、これにのっとって適切に行ってきているところです。

また、平成20年度からになりますが、第三者の意見を求めるということで、ダム事業費等の監理委員会という組織を設置しまして第三者にも入っていただきまして、事業費や工程の管理を行い、透明性、客観性の確保を図ってきているところでございます。

▼大河原:

ここまでの財政の逼迫を招いた大型公共事業の検証がいまだされていないものがたくさんありますが、それらについての当初からのデータが全てそろっているわけではありません。総括をする上でも、データが不明であれば、最新のデータを使うしかないわけです。それについても、今の国交省の大型の治水事業、公共事業のつくり方に大きな不満を持っております。

コンクリートから人へということについて、大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。

△羽田雄一郎国土交通大臣:

コンクリートから人へということで、政権交代後、公共事業費については前原大臣のときにずっと少なくしたわけで、抑制したわけでありますけれども、今大体平均的にそう多くならずにということでやってまいりました。基本的には、これからも公共事業費をどんと増やすような財政状況にないということは変わりがないというふうに考えております。

ただ、東日本大震災等の教訓を踏まえると、全国の防災とか、こういう観点、これはしっかりと踏まえていかなければならないというふうに考えておりまして、やはりコンクリートから人へという理念はしっかりと持ちながら、しかし、全国防災等についてはしっかりと考えていかなければならないというふうに思っております。

▼大河原:

東日本大震災、またこれまでに経験のない雨が降るという状況下で、防災面では国民一人一人の命を守る公共事業は手を緩めずに充実をさせていかなければならないと思います。

ダムは、想定内の雨、洪水にしか対応できず、ダムの下流に降った雨に対応するのみです。また、ダムが完成するまでは安全が確保されないわけですね。ですから、先日の豪雨も、こういったことをきちんと検証をしていただきたいと思います。

野党の皆さんが、ダム検証をしているから災害が多発をするかのようにおっしゃっていますが、生活関連支援の道路などは整備を続けています。ダム検証をしているから災害が起こるというようなことは全くないと思いますし、本当に必要な公共事業のために予算を付けていただきたいと思います。

今回のこの報告書の中には、ダムだけではなくて導水路もチェックされており、霞ケ浦導水路について伺います。

霞ケ浦にこの事業が係っていて、那珂川の水を霞ケ浦に導入し、霞ケ浦の水質改善を目的にしています。

今回の会計検査院の報告によれば、近年、霞ケ浦の水質は悪化する傾向、そして、現状においては導水を実施しても目標どおりの水質改善に達するまでには相当な期間が要るということです。国土交通省として、いつまでに当初目標の水質改善を達成できると想定しているか、国交大臣に具体的な見込みをお伺いします。
△羽田雄一郎国土交通大臣:

霞ケ浦の導水事業ですけれども、全国83か所の検証対象ダム事業の一つとして、現在、事業主体である関東地方整備局において、有識者会議による中間取りまとめに示された手順に沿って検証を進めさせていただいております。

また、霞ケ浦の水質改善については、茨城県、栃木県、千葉県が策定した霞ケ浦に係る湖沼の水質保全計画において、長期ビジョンとして既に、おおむね平成32年度に全水域の平均値でCODを1リットル当たり5ミリグラム台前半の水質を目指すとされているところであります。この目標の達成については、国による霞ケ浦導水事業等の浄化用水の導入のほか、市町村による公共下水道の整備等の排出負荷の削減、また茨城県による水生植物帯の整備等の湖内対策を実施することにしており、これら多くの施策の実施によって実現できるとされているところであります。

 

▼大河原:

全体事業費1900億円の内、既に1460億円を使っていますが、立て坑(の一部のみの)完成で横につながっていません。水質改善が見込めないという会計検査院の報告からしますと、これから霞ケ浦は非常に複雑な課題が出てくると思います。水質改善だけが目的というわけにはいかないと思いますので、この点についても特別な検証を是非要望します。

那珂川の方の導水と利根導水のセットで、利根の方は既に完成しておりますが、20年来使われていないため、コンクリートが劣化をしているのではないかという懸念まであり、非常に問題が多いわけです。今後の利用の想定とか経年劣化への対応の点についても伺います。

 

△羽田雄一郎国土交通大臣:

平成8年に竣工しております利根導水路については、引き続き適切に管理するとともに、会計検査院の報告も踏まえて、漁業関係者との合意形成を進めつつ、本導水路のみによる効果の程度を把握することにより、本事業の検証と並行して単独での運用の可能性について検討していきたいというふうに考えております。

 

▼大河原:

次に、スーパー堤防について伺います。

これは、事業仕分でも指摘されたように、全地域の完成には400年以上掛かります。まちづくりと一体として整備をするということがそもそもの発想で、堤防の内側にある町の方々に一斉に立ち退いていただいてかさ上げをするという大きな事業です。

この高規格堤防では、市街地との一体的な整備のために策定されるべき沿川の市街地整備計画が作られていなかったり、協議会も設置されていなかったり、非常に乱雑な、乱暴なやり方で進められてきたと思います。

整備率の考え方についても指摘のあった会計検査院の結果について、国土交通大臣としては、24年度以降、この事業実施計画を短縮した上でも引き続き継続するとおっしゃっていますが、検査結果を受けての整備率、延長の考え方、算定方法、そもそもこのスーパー堤防を今造れるのかということについて、率直な意見をお聞かせください。

 

△羽田雄一郎国土交通大臣:

高規格堤防でありますスーパー堤防は、普通の堤防と比較して幅が広く、堤防の高さの30倍程度ということでありまして、超過洪水に対して耐えることができる堤防として整備するものでありますけれども、既成の市街地においては多くの地権者がかかわっていることから、まちづくり事業と一体となって整備する必要があり、完成に時間を要する側面があります。

こうした事業特性についても、昨年、学識者から成る高規格堤防の見直しに関する検討会においてゼロベースで検討していただき、まちづくりと連携した整備を効果的に進めるための移転方式の見直し等のご意見をいただいたところであります。

国土交通省としては、こうした御意見や会計検査院の報告等も踏まえて、現在、円滑な事業推進を図るための諸方策について検討しているというところでございます。

 

▼大河原:

スーパー堤防は、つながって初めて生きてくるもので、私は必要ないと思っております。

次に、最後になりますが、農業用のダムについて伺います。

郡司現大臣が副大臣当時(平成21年12月)に(民主党の)部門会議で農業ダムの点検資料を出していただきました。

農林水産省所管の190のダムのうち、水利用が低いと判断されるダムが30か所、技術的な課題を抱えたダムが7か所など、課題に取り組まなければならないダムの合計が44か所ということでした。会計検査院にも指摘されております。東郷ダムなどは、ずっとほったらかしのままと言っても差し支えないかと思いますが、ダムの目的はひとつです。

大臣として、工期が長期化するダムについてどのようなご所見をお持ちでしょう。

 

△郡司彰農林水産大臣:

ご指摘がありましたように、190のダムについて点検をさせていただきました。44という数字も出させていただきました。幾つかに分類をされておりましたけれども、そのうち約13については問題を解決することができたのではないかなというふうに思っております。

今ご指摘がありました東郷ダムを含めまして技術的な問題が5つ、それから、ダムはできたけれども、それから用水に至るまでの端末のところまでまだ工事が県の事業その他で行われているところが5つございます。それ以外のところが21ございまして、これらについて今後ともやっていかなければいけない。

特に、東郷ダムについては、水の浸透などがありまして技術的な問題があります。一部をダムで使う、それから、これまでの水利権を活用する、そういうようなことで今地元の方と調整をさせていただいて、具体的な対応策について進めていくつもりでございます。

▼大河原:

昔、橋本龍太郎元総理が行革改革の会長の時、建設省から河川局をもう農林水産省に移して、森林、湖沼、川、海、海岸を一体として見ていくという案も持っておられました。

本当に必要な国土の保全、治水の発想転換というものを民主党政権でさせていただきたいと思います。アメリカもヨーロッパも、ダムを撤去し流域全体で洪水を防ぐという発想に変わりました。今回の会計検査院の報告を今後とも一つずつ詰めさせていただきます。国民のための国土づくりに邁進していただきたいと思います。