第180国会 2012(H.24)年8月28日「国土交通委員会」

Q1「都市の低炭素化の促進に関する法律案」の特徴について

▼大河原:

都市の低炭素化の促進に関する法律案の特徴を大臣に伺います。

△羽田雄一郎大臣:

先般の東日本大震災を契機といたしましてエネルギー需給が変化する中、低炭素・循環型社会の構築を図り、持続可能で活力ある国土・地域づくりを推進することは非常に重要な課題となっております。特に、国内の二酸化炭素排出量の5割以上を占める民生・運輸部門の主たる活動の場である都市の低炭素化を促進していくことが急務となっております。

このため、個々の建築物の低炭素のみならず、太陽光パネルや蓄電池などを用いたエネルギー性能の高いまちづくりや、公共交通網と一体となって住まいの身近に医療や福祉、公共施設などがあるコンパクトシティーの形成などにより、都市の低炭素化を目指すこととし、本法案を提出をさせていただいたところであります。

本法案は、これまでの都市機能の高度化に重点を置いてきたまちづくりに、地球環境に優しい暮らしや少子高齢化社会における暮らし等の新しい視点を持ち込み、これらの視点から、住民や民間事業者と一体となってまちづくりに取り組んでいくための第一歩を築いていくものと考えております。

▼大河原:

民生部門の課題は非常に大きくて、工夫もされてはきましたし、法律もいろいろな面からカバーしています。自治体もそれぞれの地域ビジョンを作ってきております。また、地球温暖化対策推進法、同温暖化防止計画に基づいて自治体は準備をしてきた経緯もあるかと思います。これらの法律、また計画との関係で、この法案の特徴の説明をお願いします。

△加藤利男政府参考人:

都市の低炭素化に関連いたしまして、地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画などの計画制度等が既にございます。このため、地方公共団体実行計画などが既に策定されている場合には、これらの計画を活用しながら本法案に基づく低炭素まちづくりを促進する上で必要な事項を追記していただくということで、容易に低炭素まちづくり計画の策定が可能である旨を周知していきたいと考えております。

また、既存の計画がない場合にも、地方公共団体実行計画と低炭素まちづくり計画を一体として策定することが可能である旨も周知してまいりたいと考えております。

▼大河原:

社会環境の変化の中で、国土交通省の取り組みにも非常に大きな変化があり、中でも、社会資本整備審議会の都市計画制度小委員会では、都市の低炭素化を促進するための議論を昨年秋に行っています。低炭素化推進の方針に盛り込む視点、論点がどのように議論され、示されたのかもお答えをいただきたいと思います。

△加藤利男政府参考人:

社会資本整備審議会の都市計画制度小委員会におきましては、本年の6月に、都市の低炭素化を促進していくために、国として示す方針においてどのような視点あるいは事項を盛り込むべきかということについてご議論をいただいたところでございます。

その内容をご紹介いたしますが、小委員会におきましては、都市の低炭素化の目標等といたしまして、公共交通網と一体となった都市機能の集約化を進めるまちづくり、CO2の吸収源となる緑を保全、創出するまちづくりや、建築物の省エネルギー性能の向上ですとか、非化石エネルギーの利用など、低炭素化につながるまちづくりを目指すということのほかに、国における取組の方針といたしまして、都市政策ですとか交通政策に限らずに、幅広い政策分野との緊密な連携を図りながら施策の総合的な推進を図るべきことなどについてご意見をいただいたところでございます。

Q2 都市計画に関する諸制度の今後の展開について

▼大河原:

都市計画制度小委員会での議論は非常に興味深く、とりわけ都市計画法の検討の中で、開発を進めていく都市計画からの転換という考え方が出てきました。人口減少社会になり、エネルギーの制約や経済の停滞ということから、目指されている方向は、エココンパクトシティーをつくる、こういう思想がこの中にあふれているなと思いました。

私が特に関心を持っているのは、都市計画に関する諸制度の今後の展開についてです。この案の中に、早急に講ずべき都市の低炭素化に係る施策として緑地の保全、緑化の推進が挙げられました。古くからある施策でもあり、各地で緑の基本計画などで取り組まれているわけですけれども、課題は何でしょうか。

私が都議会にいるときに緑地管理機構が創設されて、東京都が緑地管理機構になれないか、その指定要件の緩和ができないかと取り組んでみましたが、なかなか増えませんでした。課題は今、何でしょうか。

△加藤利男政府参考人:

課題についてのご指摘でございますけれども、これまでは、緑化政策を進めるにあたりまして、どちらかといいますと、都市公園等の施設緑地の整備ですとか、比較的大規模な民有緑地の保全というようなことを中心に取り組んできたところだと考えております。

ただ、こうした中で、民有緑地の所有者の高齢化が進むとか、あるいは緑地の維持管理費の負担が大きくなってきて大変だといったようなことで問題となってきていると考えておりまして、今後は住民に身近な緑地の保全を進めていく必要があると考えているところです。

このため、本法案では、特に管理が必要な樹木等の管理を推進する樹木等管理協定制度を創設いたしまして、樹木等の保全に関する取組を推進するほか、ただいまご指摘いただきました緑地管理機構制度の拡充についても措置をしているところでございます。

緑地管理機構につきましては、従来、都道府県知事が緑地の保全ですとか緑化の推進に取り組む公益法人やNPOを指定するものでしたけれども、今回、低炭素まちづくり計画を策定した場合には、緑地管理機構について市町村が指定できるようにするものでございまして、これによりまして市町村単位で活動しているNPO法人等の指定が容易となることから、今後指定数が増加し、よりきめ細やかな緑地保全等への対応が図られるものではないかと、そういうふうに期待をしているところでございます。

▼大河原:

これまで緑地管理機構は5つぐらいしかできなかったんですね。私が住んでおります世田谷ですと、世田谷トラストという非常に先進的な事例がありますが、市町村がこの緑地管理機構にNPOなどを指定できるというのは非常に画期的なことだと思います。小さな緑を守るということについて、きめ細やかに、そしてまた地域の合意を持って共有された価値観というものが生まれてくると思うので、是非きちんと宣伝もしていただきたいと思うわけです。

Q3 都市農地・緑地に対する国土交通省の認識について

▼大河原:

緑地というと都市だとどうしても公園という形になってしまいますが、私は農地に注目をしております。

民主党政権の成果の一つに、食料・農業・農村基本計画の中に都市農業の振興と都市農地の保全が位置付けられました。農水省では、この都市農業振興のために検討委員会を設け、昨年の10月から、農業者の方たちも委員となって議論が進められてきております。

国土交通省も関心を持って見てこられたと思いますけれども、都市計画制度に関する小委員会の中でも、建築的な空間の使い方から農地、緑などの非建築的な土地利用というものについての議論が進んだと聞いております。

国土交通省の立場から都市農業について議論されたことの報告をお願いします。都市計画の中で中長期的に対応すべき事項として、消えやすい緑というものについての認識が問われると思いますが、どうでしょうか。

△羽田雄一郎大臣:

社会資本整備審議会の都市計画制度小委員会においては、コンパクトなまちづくりを進めていく観点から様々な議論がされており、この中で、都市と緑や農が共生していくことが今後の都市像の一つとして重要であることなどの議論がされているというふうに聞かせていただいております。

都市農地については、食料生産、緑地、避難地又は農業体験など、多様な役割を果たしていると思っておりまして、都市政策と農業政策双方で一体的、総合的に検討を進めることが重要というふうに考えております。

Q4 国交省、農水省、財務省による「都市農地のあり方」の一体的議論について

▼大河原:

都市政策からも農業政策からも一体的にとおっしゃっていただきました。農水省と国土交通省と共同で是非検討会を引き続きやっていただきたいと思います。都市農業の振興、保全には税の問題が大きいので、国交省、農水省、財務省、この三者が入った共同検討会を設置していただいて、是非積極的に議論をしていただきたい。実態調査もきちんとされてきていないと思います。一体的な議論について、大臣のご答弁をお願いします。

△羽田雄一郎大臣:

都市農地のあり方についてでありますけれども、都市計画制度小委員会、また農林水産省では検討会において検討課題の整理等がなされているところであります。その中で、農林水産省の検討会には国土交通省からもオブザーバーとして議論に参加をさせていただいております。

これまでも両省連携して取り組んでいるところでありますけれども、引き続き、農林水産省はもとより、今言われた財務省など様々な関係者と意見交換しながら、都市政策と農業政策の双方から一体的、総合的に検討をしっかりと進めていきたいと考えております。

▼大河原:

都市の真ん中で野菜畑があるというのはすごく不思議な光景で、こんな高い土地でどうしてこんなニンジン作るんだ、一本幾らになるんだみたいな発想の方も確かにおられます。

しかし、東京都が取ったアンケートでは、防災、教育などの観点から、都市の中に農地があって当たり前にしたいという人が多くなっています。

都市農業の形態は、東京都内でも、また名古屋でも大阪でも少しずつ違っております。それぞれの地域でどのような守り方をしたいのかは違ってくると思いますが、一体的な共同検討会の中で、是非各地の様子も見ながら前向きなエココンパクトシティーを目指す議論をしていただきたいと改めてお願いをいたします。

Q5「都市の低炭素化の促進に関する法律案」の所管に農林水産大臣が入っていない理由について

▼大河原:

低炭素化促進に関する法律案に戻りますと、所管大臣に農林水産大臣は入っていません。低炭素化を図るときに緑の部分というのは非常に大きな部分だと思います。今更、今ここで入れろとは申しませんが、これから先実行していくときにこの分野に目を向けていただきたいとお願いしておきます。

農水相が入っていない理由がおありになるのでしょうか。

△加藤利男政府参考人:

ご指摘のように、都市農地に限って言いますと、その都市農地の持つ多面的な効用を評価をして、これは積極的に都市計画に位置付けておるわけでございますが、実はCO2対策の観点から見た際に、これは都市農地に限らず農地全般として吸収源としてどのくらいの効用を発揮し得るものであるかどうかという点から、その農地が低炭素化に果たす役割について現在研究が進められているところでもございますので、その研究成果を待ってどう対応するかということを考えていきたいと思います。

ただ、今の時点では、農地がCO2対策としてかなり効果があるというところまでは至っていない、そこまでまだはっきりしていないというのが実情でございますので、今回の施策の中には盛り込まれていないということでございます。

▼大河原:

CO2の吸収源に、農地は非常に効果がある場所だと思っていますので、研究はしっかり進めていただき、所管の大臣に農水大臣を是非入れていただきたいと強く要望し、質問を終わります。