先日、ILOの労働側理事の中嶋さん(右端)と国際労働組合総連合(ITUC)の書記長でもあるアンナ・ ビヨンディさんと懇談しました。いくら経済大国日本と政府が胸をはっても、働く人の環境は先進国にあるまじき悪さだということを再確認しました。ILOでの議論に追いついていない日本政府の対応振りに、あらためて疑問を持たざるを得ませんでした。
圧倒的な力の差がある雇用主と労働者。働く人が団結しなくては、働く人の権利は脅かされる一方です。労働組合をつくり団体交渉を行う権利は、諸外国では公務員にも保障されているのに、日本の法令や慣行は公務員の労働基本権をずっと制約してきたこと。特に、1965年からはILO87号、98号条約違反であるとの勧告まで出ていたことに新ためて驚かされました。すでに一部の刑務官が民営化されている昨今、消防職員と刑務所職員の団体権は速やかに保障されるべきだと思います。
さらに驚いたのは200本近いILOの国際条約のうち、労働時間に関する19本を日本は一本も批准していないという、まさに、不都合な真実でした。時短の旗は、いつの間にか引き下ろされて、グローバル競争に勝つことが働く人の幸せであるかのようなすり替えがおこなわれてきました。国の調査でも、正規雇用の25~44才の男性のうち、五人に一人は週60時間以上働いており、朝夕は長時間の満員痛勤電車に揺られ、席に座れば直ちに爆睡!という光景が日常化している現実。家庭生活の犠牲が透けて見えます。極限まで非正規雇用が進んでしまった今、新ためて“労働を商品化してはならない”というILOの提唱する基本理念を、誰もが噛み締めてみる必要があるのではないでしょうか。
ワークライフ・バランスの実現、「働きがいのある人間らしい仕事」(ディーセントワーク)の実現を目指して、いざ、政権交代!!
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