12月16日 内閣委員会質疑

選択的夫婦別姓について、旧姓使用の弊害について伺う。

林男女共同参画局林局長 具体的には、住民票やマイナンバーカード、運転免許証等への旧姓併記が令和元年以降可能となりました。また、旅券への旧姓併記についての申請要件の緩和等の検討を行っています。各種国家資格、免許等への旧姓使用の拡大等の取組を関係省庁と連携しながら進めてまいりました。他方で、課題もございます。四つほど例示させていただきます。一つは、税の納税告知書にはいずれも戸籍名のみが表記され、旧姓は使用できません。二つ目として、不動産登記では旧姓の併記ができないため、住宅ローンに関する金融機関との契約や抵当権設定契約では、旧姓で契約を締結することはできません。三つ目として、旅券の旧姓併記については、国外では旧姓の通称使用が理解されないということがございますので、旅券の所持人が渡航先国の出入国管理当局から説明を求められたりするといった、渡航や外国での生活等において支障を来すことがございます。四つ目としまして、旧姓による銀行口座の開設等につきましては、金融機関等のシステム改修が必要となりますので、一部の金融機関にとどまっている、こういった指摘があるところでございます。

古い家族像にとらわれないで、国際的な視野で、人権的な視野で議論ができるように、五次計画の中に盛り込まれることを望みたいと思います。それでは、次の質問に移ります。今回のコロナ禍で、日本では女性の自殺が増加しているということが出てきております。要因をどのようにとらえているのか、その点、まずお聞かせください。

岩井政府参考人 本年八月までの自殺の動向について、厚生労働大臣の指定調査研究等法人の分析によりますと、女性の自殺の背景に潜む経済、生活問題、DV被害、育児の悩みなどさまざまな問題がコロナ禍において深刻化し、自殺者数の増加に影響を与えている可能性等が指摘されております。

 みずからの暮らしの中で保育とか子育てや介護も多く担っている女性たちがまさに大きな打撃を受けたのだと思っています。もう一つ伺いたいと思いますが、学生さんも含めて若い女性の経済的困窮と、行きどころがない思いからの自死ということもあろうかと思います。若年女性の被害者女性等支援モデル事業というのを国がつくっているわけですが、これを御説明ください。

岸本政府参考人 厚労省におきましては、平成三十年度に若年被害女性等支援モデル事業を創設いたしました。令和元年度の実施状況を申し上げますと、東京都三団体、福岡県一団体に委託して事業を実施しておりまして、アウトリーチ支援として、渋谷、秋葉原、福岡市などを中心に、延べ五千百三十一人に対して声かけや相談カードの配布、巡回バス相談などを行っております。また、SNS、メール相談、電話相談、面談などによりまして、延べ約四万一千件の相談支援を実施もいたしました。また、虐待や性暴力、家出などを主な理由として一時的な保護が必要とされる方につきましては、五十一名の方に居場所を提供し、日常生活支援、相談支援を実施したところです。

岸本政府参考人 SNSなどの活用によって、本事業を必要とする人に届くようにということを心がけているところです。また、今後につきまして、本事業は、本年度までの三年間のモデル事業として実施しているものですが、令和三年度から、相談支援体制や、関係機関、医療機関等との連携の強化を図った上で本格実施に移行することを検討しておりまして、引き続き、困難な問題を抱える若年女性の支援に努めてまいりたいと考えております。

この若年女性の支援事業もそうです。その被害に遭っている中には性被害というのもありまして、それについては、性被害防止の支援ワンストップセンター、これが立ち上げられております。このワンストップセンターの支援状況、これはいかがでしょうか。

林局長 今年度の上半期の相談件数は二万三千五十件となりました。これは前年同期を二割近く上回る件数となっております。性犯罪、性暴力は、被害者にとって、身体面のみならず、多くの場合、精神的にも長期にわたる傷跡を残す、人権を踏みにじる、決して許すことのできないものでございます。内閣府といたしましては、ワンストップ支援センターの運営に必要な予算の確保等にしっかり努めてまいります。

コロナによって女性へのしわ寄せがあるというのは、御自覚をいただいているのか。経済政策としてどのような対応と方針を持っていくのか。

西村国務大臣 女性への影響を十分に目配りしながら、雇用と生活をしっかり守っていく、そのための経済対策を今回まとめたところです。さまざま雇用のための対策に加えて、子育て中の女性のニーズに合った積極的な求人開拓であるとか、地方自治体がその事情に応じて困難を抱える女性に寄り添いながら就労支援を行う取組であるとか、計上しているところです。あわせて、意欲があり能力がある女性の活躍をぜひ推進していきたいと考えております。そうした観点から、現在、コーポレートガバナンス・コードの改定作業を行っておりますが、その中で、女性の役員であるとか女性の登用であるとか、それ以外にも外国人のこともありますが、そうした中でも女性の活躍する場をより多く設けられるように、私の立場からも後押しをしていきたいと考えております。

あらゆる統計に男女別のデータをしっかりと積み上げていくことが必要です。ぜひ、そのことをやっていただきたいと思います。

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