質問主意書09.03.11(質問第80号)

2009(H.21)年3月11日(質問第80号)

照射食品に関する質問主意書・答弁書の内容

平成18(2006)年10月3日、内閣府は厚生労働省に対して原子力委員会が決定した『食品照射専門部会報告書「食品への放射線照射について」について』を通知した。その後厚生労働省は三菱総合研究所(以下「三菱総研」という。)に2千992万5千円を支払い「食品への放射線照射についての科学的知見等についての取りまとめに関する調査業務」を委託している。調査内容は「オリジナル文献、世界各国の規制および運用調査、統計資料、食品安全行政として検討が必要と思われる情報の収集、また、食品業者・消費者等へのニーズ調査など」で、三菱総研ではほぼ報告書が出来上がっていると聞いている。厚生労働省はこの報告書を薬事・食品衛生審議会に諮ると聞いた。緊急を要する問題であることから、以下質問する。

 

Ⅰ 三菱総研への業務委託について

 

▼質問Ⅰ-1:

業務委託の目的は何か。

△答弁:

※(この箇所の答弁は質問Ⅰ-3の答弁を参照。)

 

▼質問Ⅰ-2

報告を受けた後、厚生労働省はどのように審議していく予定か方針を示されたい。

△答弁:

お尋ねについては、部会において、御指摘の報告書も参考としつつ、食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項又は第3項の規定に基づく食品安全委員会の意見を聴取する必要性があるかどうかについての検討が行われることとなる。

 

▼質問Ⅰ-3:

三菱総研に委託する際収集すべき資料についてどのような基準を示したのか。また、その基準はどのような観点から定めたものか見解を示されたい。

※△質問Ⅰ-1・3の答弁:

御指摘の業務委託(以下「業務委託」という。)は、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会(以下「部会」という。)における審議のための資料として、食品安全行政の観点から、食品への放射線照射に関する科学的知見並びに世界各国の規制及びその運用状況、放射線照射食品に係る統計資料、我が国におけるニーズその他検討が必要と思われる情報を収集するものである。

 

▼質問Ⅰ-4:

厚生労働省は三菱総研に委託した調査内容について、専門家に相談したか。したのであればそれは誰であるか。

△答弁:

お尋ねについては、毒性物質の生成、栄養成分の変化等をリスクプロファイル原案に盛り込むべき危害要因とすることについて、照射食品の検知法の専門家である国立医薬品食品衛生研究所食品部第二室長の助言を得たところである。

 

Ⅱ シクロブタノン類について

 

▼質問Ⅱ-1:

シクロブタノン類が動物細胞やヒト細胞の遺伝子を傷つけるという実験データはあるのか。実験データがある場合、その内容はどのようなものか。

△答弁:

お尋ねについては、平成18年9月に原子力委員会食品照射専門部会が取りまとめた報告書「食品への放射線照射について」において、「2-ドデシルシクロブタノンはDNAに障害を起こしたというデリンシーらの報告(1998、1999)がある」とされている。

 

▼質問Ⅱ-2:

パスツール大学によって行われた、シクロブタノン類に発がん補助作用があるという実験は承知しているか。承知している場合、実験内容はどのようなものか。

△答弁:

お尋ねの「実験」とは、ラウルらが平成14年にその結果を公表した実験を指すものと考えるが、そうであるとすれば、その内容は、発がん物質であるアゾキシメタンをラットに投与したところ、3か月後の観察では、当該ラットの飲料水に2-アルキルシクロブタノン類を混合していた群(以下「混合群」という。)については、混合していない群に比べ異常はなかったが、6か月後の観察では、混合群のみについて腫瘍数及び腫瘍サイズの増大が認められ、2-アルキルシクロブタノン類に発がん促進作用活性のあることを確認したものであると承知している。

 

▼質問Ⅱ-3:

シクロブタノン類の問題は1980年のIAEA・FAO・WHOの合同専門家委員会の照射食品の報告以降にわかった新しい知見か。

△答弁:

2-アルキルシクロブタノン類の毒性や発がん促進作用については、御指摘の報告を契機としてではなく、平成2年以降に着目されるようになったと承知している。

 

▼質問Ⅱ-4:

シクロブタノン類の発がん性の有無を確認した実験報告はあるのか。また、シクロブタノン類の発がん性に関する実験データの収集はできているか。収集済みであれば、その実験結果はどのようなものであったか。

▼質問Ⅱ-5:

シクロブタノン類の慢性毒性に関する論文は収集できているのか。収集済みであれば、論文の出典を明らかにされたい。

△質問Ⅱ-4・5の答弁:

御指摘のような実験報告、実験データ及び論文があるかどうかについては、承知していない。

 

▼質問Ⅱ-6: 

消費者団体「照射食品反対連絡会」より「シクロブタノン類の発がん実験を行うように」という申し入れがされているが、この実験は行われたのか。行われていないならばその理由は何か。

▼質問Ⅱ-7:

厚生労働省はシクロブタノン類の発がん性や慢性毒性の実験を行う予算要求をしたことがあるか。予算要求をしたことがあれば、それは何年度にいくらの金額を要求したのか、また、予算要求をしたことがないのであれば、なぜしなかったのか理由を明らかにされたい。

△質問Ⅱ-6・7の答弁:

お尋ねの実験及び予算要求については、その必要性を判断できるだけの知見が得られていないことから、現時点においては行っていない。

 

▼質問Ⅱ-8:

照射馬鈴薯が食品衛生調査会で審議されたときの審議資料に準じて三菱総研に資料の収集を依頼したのか。

また、照射馬鈴薯は、審議資料の基準がないまま食品衛生調査会で審議が行われたのか。

△答弁:

御指摘の照射馬鈴薯に係る審議は、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第7条第1項(現第11条第1項)に規定する基準を設定することを直接の目的として、当該食品の安全性の評価も含めて行われたものであり、その資料の収集方法は、今回の業務委託において参考となるものではない。

 

▼質問Ⅱ-9:

照射食品の審議に使う資料にシクロブタノン類の慢性毒性や発がん性実験データがないまま薬事・食品衛生審議会に諮ると判断したのは事実か。事実である場合、シクロブタノン類の慢性毒性や発がん実験データがなくてもよいとした理由は何か。

また、薬事・食品衛生審議会が不足した審議資料の追加を要求しなければ、用意しないというのは厚生労働省の判断か。

△答弁:

御指摘のようなデータを部会における審議のための資料に加える必要があるかどうかについては、いまだ業務委託の報告書が提出されていないことから、現時点においてお答えすることは困難である。

また、部会における審議のための資料については、これまでも必要と認めるものを用意するとともに、部会から資料の追加を要求された場合には、可能な限り対応することとしてきたところである。

 

Ⅲ スパイスについて

 

▼質問Ⅲ-1:

スパイスの個々の品目について審議する資料はそろっているのか。

△答弁:

御指摘のような資料は保有していない。

 

▼質問Ⅲ-2:

スパイスは菌に汚染され中毒等の危険があることが照射の理由の一つとされているが、日本においてスパイスによる食中毒事件は何件あるのか。

△答弁:

お尋ねの食中毒事件については、直近の5年間においては、法第58条第5項に規定する都道府県知事等からの報告は受けていない。

 

▼質問Ⅲ-3:

厚生労働省におけるスパイスの定義はあるか。

△答弁:

スパイスの定義としては、「食品衛生法等の一部を改正する法律による改正後の食品衛生法第11条第3項の施行に伴う関係法令の整備について」(平成17年11月29日付け食安発第1129001号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)の別添一において、「食品に風味付けの目的で比較的少量使用される種々の植物由来の芳香性樹皮、根、根茎、蕾、種子、果実、または果皮」であるアサの種子等60品目をいうとされている。

 

▼質問Ⅳ:

違法に照射された食品が流通しているなか、照射食品が認められた場合、「線量オーバー」や「重複照射」などを厚生労働省はチェックできるか。

△答弁:

放射線の線量及び重複照射の検査法はいまだ国際連合食糧農業機関・世界保健機関合同食品計画の実施機関であるコーデックス委員会に設置されている分析・サンプリング法部会において確立されていないことから、御指摘の事項を確認することは困難である。

 

▼質問Ⅴ:

原子力委員会の『食品照射専門部会報告書「食品への放射線照射について」について』によれば、厚生労働省に対し「有用性が認められる食品への照射に関する検討・評価」についての取組を求めているが、厚生労働省は有用性の基準をどのようなものとしているか。

△答弁:

食品衛生行政は飲食に起因する衛生上の危害の発生の防止を目的とするものであることから、御指摘のような基準については定めていない。

 

▼質問Ⅵ:

日本では米、小麦、馬鈴薯、タマネギ、ミカン、水産練り製品、ウインナーソーセージ類が照射したい品目として実験が行われているが、要望があれば薬事・食品衛生審議会に諮るのか。

△答弁:

個別品目に対する照射の可否については、部会の審議結果も踏まえ、今後必要に応じて検討してまいりたい。