日本の都市・住宅政策は、1990年代後半から公的な介入と再分配による社会福祉政策を後退させ、経済再生を主とした規制緩和を軸とする都市計画法・建築基準法などを再三改正し都市住宅整備公団の再編、住宅金融公庫の廃止、公営住宅法の改正等がすすめられてきました。
そして、一方で介護保険法がめざす「施設から在宅へ」の転換は高齢者の住まいの問題は重要なテーマとなり、高齢者住居安定法、高齢者専用賃貸整備特別措置法、住宅セーフティネット法なども相次いで制定されました。
こうした背景のもと、今後の住宅政策課題について、千葉大学工学部教授・小林秀樹さんをお招きし学習しました。「まちなかの居住の再生」と「郊外拠点の形成」が課題であり、住宅と福祉の連携の推進が重要であり、「高齢者に必要なのは住宅の質よりもサービスの内容」だとの指摘に発想の転換が迫られていると感じました。高齢者に相応しい住まいとして「集まって暮らす住まいの普及」「NPO等によるセーフティネット住宅の拡大」「空き家活用推進のための法整備」「公的住宅の階層ミックス」等の提案を是非実現したいです。