マレーシアと韓国からゲストスピーカーを招いて「TPPを考える国際会議」が開催され、私も司会として参加しました。マレーシアからは二人の野党議員、人民正義党の女性国会議員ヌルル・イザー・アンワル議員、民主行動党のチャールズ・サンチアゴ議員が参加、秘密主義で行われてきたTPP交渉の問題点が数々指摘されました。特に、物議をかもしているISD条項(:国際的仲裁・裁定機関において、企業が政府を訴えることを可能にする)については、かつての公正・中立的な紛争処理システムとしてのISDシステムが、TPPにおいては変質し、国家主権や政府の政策立案の余地に重大な悪影響を及ぼすものと強調されました。また、韓国の徐尚範(スォサンボン)弁護士と郭洋春(カクヤンチュン)立教大学教授からは、TPPのモデルともいわれる米韓FTAの発効後1年足らずで韓国社会に起きた様々な出来事から、TPPの問題点が報告されました。米韓FTAによって韓国では「23件の法律、16件の施行令、18件の施行規則」「9件の告示・例規」等が改正されたにもかかわらず、米国では一件の法改正も無かったとのこと。「TPPの本質はアメリカ企業の自由な経済活動に都合のよいように相手国の法律・制度・習慣を変えることだ」との指摘は、現実に韓国で起こっていることだけに、背筋の冷たくなる思いです。
交渉の余地のない段階にきてまで何故、日本が参加を求めるのか? 経済や各産業分野への影響に止まらず、例えばジェネリック薬の利用拡大目標に影響は無いのか? グローバル化で労働環境は悪化する! 政府調達や水道事業など公的サービスの市場解放、インターネット上の自由を損なう不合理なルールの拡大などなど、国民生活を脅かすや環境・人権への影響評価アセスメントは全く行われていないのが現状ですから、国益の判断はできないはずです。
私たちの未来を勝手に書き換えてしまうTPPは、ほんとに危険です!TPP情報の収集、開示に奔走されてきたオークランド大学のケルシー教授やNPOパブリックシチズンのロリ・ワラックさんからは、10月4日から始まるTPP閣僚会合、首脳会合が開催される8日からのAPECと今後に向けての状況認識を共有するための想定シナリオとメッセージが寄せられました。アメリカでは、連邦議会がTPPの草案文面を見ることがついにできるようになり、議会に警戒心が広がっているとのこと。知れば知るほど危険で、非人間的なTPPはグローバルな連帯でこそ阻止することができるとのメッセージでした。
全く、同感です!!
(当日の資料は、国民会議のHPからご覧ください)http://tpp.main.jp/home/