第47回衆議院選挙が公示された。先月21日の衆議院解散からわずか11日で選挙戦がスタートする。安倍首相は「アベノミクス解散」と呼び、アベノミクスの継続に国民の信を問うという。実際には消費税率の引き上げ延期でも証明されたアベノミクスの失敗や数々の不都合を隠す“党利党略今のうち解散”だ。選挙の時期を延ばすほどに傷は大きくなると踏んで、野党の準備できないうちにと企てられた解散劇に有権者の拍手はない。おまけに今回の総選挙は、定数削減や一票の格差是正も行われておらず「違憲状態」のままで実施されることになる。有権者は「民意を反映しない国会議員が選ばれてしまう」ことをあらかじめ覚悟しなくてはならない。
いつの選挙でも有権者の関心は景気や雇用や福祉が上位を占めるが、物価上昇、円安、株高、賃金上昇せず、非正規雇用が増え、格差は拡大するばかり、国民一般に目立った恩恵はなく、逆に準富裕層や富裕層が増えたというアベノミクス。国民生活の悪化は明らかだ。政治とカネ、集団的自衛権の行使容認、原発再稼働、特定秘密保護法など、安倍政権にとって不都合な争点は数々ある。争点は政権が決めるものではなく、この二年間の実績を評価する有権者が決めるものだ。
成長戦略に原発の再稼働を組み込み、原発の輸出に精をだす、“脱原発依存”の公約はいとも簡単に破られ、今や原発は重要なベースロード電源との位置付けだ。国民の脱原発の声に反するエネルギー政策、集団的自衛権の行使容認、憲法に関わる重要政策を国会の議決によらず閣議で決める強引なやりかた。選挙公約になかった特定秘密保護法は強行採決を重ねて成立させてしまった。立憲主義を解さず、議会制民主主義を軽視する安倍政権の危うさこそが最大の争点だ。安倍政権はこれまでの自民党政権とは明らかに違う。経済最優先で武器輸出三原則まで変えた好戦的な安倍政権の”積極的平和主義“には背筋の寒くなる思いだ。その歴史認識に至っては、歴史修正主義と批判されるほどに利己的で、平和憲法のもとで戦争に依らず発展してきた日本の地位を貶めかねない。一強多弱国会で味をしめた安倍政権には、選挙で勝てばすべて承認されたとされてしまう恐れがある。むしろそれがこの解散に意図されたところではないのか。改憲に向けて「この道しかない」と言われている気がしてならない。戦争への道は、断固お断りだ!
だから私たちもこれまでとは違う闘い方をしなくてはならない。武器は手元の選挙区と比例票の2票。小選挙区では自公以外の勝てる候補者に、比例区では日頃支持してきた政党に投票する。普通ならあり得ない野党共闘も一強多弱を破るための戦略として受け止めるしかない。
すでに各メディアが低投票率をアナウンスしているが、メディアまで掌握しようとしている安倍政権に決して白紙委任を与えてはならないことをおおぜいの人に知らせよう!