▼大河原:決算の報告書などを見ていても私の目が行くのはどうしても河川とかそういった問題になります。実は小さい時に横浜で水害に遭ったことがあり非常にそうした小さいときの体験はなかなか消えないもので、水というのは本当に怖いものだと。2015年9月台風18号の影響で鬼怒川の堤防が決壊しました、本当にひどい被害に遭われた方がこの日本中にたくさんいることを思い質問いたします。
鬼怒川の上流には国交省が建設した四つの大規模ダムがあります。五十里ダム、川俣ダム、川治ダム、湯西川ダムです。この湯西川ダム、ダムの上流に更にまたダムをつくるという屋上屋を架すようなダム建設という印象を持っています。鬼怒川は今回の水害の前年、2014年度までに河川改修にどのぐらいの予算が使われてきたか。2014年度迄の10年間の予算額を示し、同じ期間に湯西川ダム建設事業に投じた予算額をお示しください。
△山田政府参考人:治水事業の実施については堤防の整備や補強、河道の堀削といったようなもの、ダムや遊水地の整備等、様々な治水手段を各河川の特性や流域の状況に応じて講じているところです。鬼怒川の直軸河川改修事業は昭和元年より用地買収等の制約がある中、堤防等の整備を順次進めており質問のあった平成17年度から平成26年度迄の10年間に鬼怒川の河川改修事業に投じた予算は132億円となっています。
▼大河原:この10年間鬼怒川の河川改修の予算額は湯西川ダムの予算額のなん分の一なんでしょうか。
△山田政府参考人:平成17年度から平成26年度迄の10年間のダム建設費を比較すると河川改修費は約8分の1ということになります。
▼大河原:ダムをつくる予算の八分の一しか河川改修に使われていなかったわけですね、この期間。鬼怒川は河川改修の予算が少なく堤防の整備が極めて遅れていた。そしてその後鬼怒川緊急対策プロジェクトを打っているわけです。水害前の鬼怒川の堤防整備率、鬼怒川全体、それから栃木県側、茨城県側、分けて説明いただけたらと思います。そして新聞報道によると茨城県側の堤防整備率というのは僅か17%だがこれは事実でしょうか。
△山田政府参考人:鬼怒川については以前より下流部の茨城県区間では連続堤防の整備による流下能力の向上、流れの速い上流部の栃木県区間では護岸整備による河岸の強化、ダム整備による流量の低減等を行うことにより河川全体にわたって安全度を向上してきた。栃木県区間の完成堤防の整備率がほぼ変わらない一方で茨城県区間の完成堤防としての整備率が約42%から約9%と数字の上では小さくなった。それまでの堤防整備の状況に関して茨城県区間が上流の栃木県区間と比較して著しく遅れていた訳ではない。特にここ15年程度の間は茨城県区間の堤防整備に重点的に予算を投入して流下能力が大きく不足する箇所を優先して下流から整備を進め平成27年3月末時点で鬼怒川全体の完成堤防の整備率は約43%、うち栃木県区間で約62%、茨城県区間で約17%となっています。
▼大河原:17%なのですね。各県、こんなに整備率に差があるということを恐らく地域住民の方たちが存じないことがあると思います。
お伺いします、脆弱な部分に水が来たときのことというのはもう想像にかたくないわけで、河川整備計画をつくる段階でも、私は、もうダムの効用というのは限度が見えてきてしまっている。
ダムの限界をどのようにお考えでしょうか。
△山田政府参考人:河川改修やダム建設についてもそれぞれ予算や用地取得上の制約がある中で計画的に進めているところであるが、引き続き河川改修とダム建設の双方の適切な役割分担のもと、着実に治水事業を進めていくことが重要であると考えているところです。
▼大河原:私はダムを全部否定しているわけではない。河川改修の王道はやはり河川整備だ、堤防を強化しそして弱いところをなしていく。なぜなら、その地域の人の命が直結しているからなのです。ダム事業は小さく産んで大きく育てる、長く時間がかかるからトータルでは物すごいお金がかかっています。ですから、単純に今年の予算は少ないとか言えない。何より何のために、命を守るための河川整備をしなきゃならないわけです。
鬼怒川の緊急対策プロジェクトはまだまだ2020年まで続きますけれども、つまり2020年までこれまで放置してきたところ、本当に私たち、国会にかかわる、そして行政にかかわっている国土交通省も心して、人の命を護ということをしっかりと御自覚を頂きたいという風に思います。