▼大河原まさこ:
私は、子供の施策に関して言えば、当事者としての子供の最善の利益を追求するという立場からさまざまな施策が考えられるべきだというふうに思います。子供にはよいケアとよい教育を受ける権利があるとまず思っているところですけれども、松山大臣の子育て支援に関する基本的な姿勢をまず伺わせていただきます。
△松山国務大臣:
子供の健やかな育ちと子育てを支えることは、子供や保護者の幸せにつながることはもちろん、将来の我が国の担い手の育成の基礎をなす、大変重要な未来への投資だと思っております。子ども・子育て支援は、子供や保護者に必要な支援を行い、一人一人の子供が健やかに成長することができる社会の実現に寄与することを目的として、先生がおっしゃるように、子供の最善の利益、これが実現される社会というものを目指すとの考えを基本とするものでございます。
このため、子供の視点に立って、子供の生存と発達が保障されるように、良質かつ適切な内容の水準の支援ということが大変必要だと思っております。
また、子ども・子育て支援は、保護者の育児を肩がわりするということではなくて、保護者の子育てに対する負担や不安、あるいは孤立感を和らげることを通じて、親としての成長を支援し、子育てや子供の成長に喜びや生きがいを感じることができる、そのような支援をしていくことだと思っております。
こういった趣旨を踏まえて、今後とも子供や保護者の視点に立った子ども・子育て支援にしっかり取り組んでまいりたいと思います。
▼大河原まさこ:
2016年に改定されました児童福祉法も、その中では、全ての児童が、「児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」というふうに述べられているわけです。言わずもがなですけれども、このことがあらゆる施策に行き渡るかというと、なかなか難しい現実がございます。
幼保一元化、縦割りの役所の行政ではなくて、子供たちの育つ環境として、よいケアとよい教育が同時に与えられる幼保一元化、認定こども園というのはそのためにつくられた機能だというふうに思いますが、見かけるところ、なかなかふえていないように思われます。なぜふえないのでしょうか。そして、この幼保一元化ということについて大臣がどのようなお考えをお持ちか、お聞かせください。
△松山国務大臣:
認定こども園制度につきましては、平成18年に創設をされました。平成27年4月に施行されまして、子ども・子育て支援新制度においては、施設型給付として財政支援を一本化するといった制度の改善も図ったところでございます。
認定こども園数でございますが、新制度施行後の平成26年4月時点におきましては1360園でございました。それ以降、毎年約1000園以上の増加を示しておりまして、平成29年4月時点では5811園となっています。認定こども園の移行は、ある程度着実に進んでいるのではないかと考えておるところでございます。
他方で、認定こども園の移行につきましては、例えば、施設の収入面への不安などもあると承知をいたしているところでございます。このため、平成27年度以降、施設型給付におきましては、各種加算を創設するといったことも含め認定こども園に対する給付面での充実を図るとともに、認定こども園の施設整備につきましては、文部科学省、厚生労働省におきまして施設整備費の充実を図ってきたところでございます。
政府としては、今後とも、この教育、保育を一体的に提供できる認定こども園の移行というものを、希望する方が円滑に移行できるように、その支援をしっかり行ってまいりたいと思います。
▼大河原まさこ:
今の幼保一体化、連携型の認定こども園を、学校として位置づけるということが新たにできていたんですが、今大臣がお答えになった旧来の認定こども園というものと、この新たな学校の位置づけとしての認定こども園は、今の数字で分けられているんでしょうか。
△小野田政府参考人:
平成27年度に新たな子ども支援制度が発足いたしております。それ以前、それ以後の幼保連携型の認定こども園数、ちょっとお時間を賜ればお答えさせていただきます。
▼大河原まさこ:
昨年の五月、安倍政権は、政権発足以来、29年度末には待機児をゼロにするということをずっとおっしゃっていましたけれども、これを撤回して三年先送りいたしました。いま一度、この原因は何だったのか、お聞かせください。
△大沼大臣政務官:
安倍政権では、これまで、待機児童解消加速化プランに基づいて受皿整備を推進してきたところでございまして、平成29年度末までの五年間で約59万人分の新たな受皿拡大を見込んでおりましたところですが、25歳から44歳の女性の就業率は年々上昇しております。
また、保育の利用申込者数につきましても、加速化プラン策定前と比較して二倍近い、極めて高い伸びとなっております。保育の利用申込者数が前年度から10万人近く増加していることもございます。
また、一部の地域におきましては、人口流入等による就学前の児童数の増加、大規模マンションの建設等による局地的な人口増加など、予測を上回るニーズの伸びに整備が追いついていない状況や、保育園等に適切な土地が見つからない、保育園開設に向けて周辺住民との調整がつかないといった、保育の受皿整備を難しくしている状況があるなど、地域的な要因により待機児童が生じていると考えております。
こうした状況を踏まえまして、政府といたしましては、昨年6月に子育て安心プランを作成したところでありますが、今般さらにこれを前倒ししまして、2020年度末までに32万人分の保育の受皿整備をすることによって待機児童の解消を図ることといたしております。
▼大河原まさこ:
待機児の定義というものがここまでなかなか定まってこなかった、これをきちんと統一するというのを昨年やられたと思いますけれども、今現在の待機児の定義をいま一度教えていただけますでしょうか。
△大沼大臣政務官:
申込者数に対しまして、保育所、また幼保連携型認定こども園、幼保認定型こども園等、そういった全て、地域型保育事業所等、特例保育利用者等、利用している者を除いた児童について、待機児童と定義しているところでございます。
▼大河原まさこ:
正確さを期すために再度伺います。
待機児童問題といったときに、全国で待機児童がどういうふうにカウントされていたか、なぜ安倍政権がこれだけ待機児童解消と言っているのになかなかそれをクリアできないのか、いろいろなところで数が行き違っているということがあるんですね。待機児童の定義というのは、とにかく全国的に統一されていなかったということもあります。
でも、今政務官がお答えくださった中には、やはり、なぜそれが生まれているのか、待機児というのは、結局、園に入れなかった人と一くくりに言ってしまっても、どうして園に入れなかったのか。もちろん、数が足りないということもあるでしょうけれども、希望したところに入れないとか、育児休業中の人はカウントされていないとか、あるいは、求職活動を休止している、それだって、預けるところがないから求職活動ができない、そういう方たちもおられるわけで、そのほか、小さな、自治体がやっている、補助している保育サービスに入っているので待機児にはカウントしないとか、そういうことが起こってきているわけですよね。
ですから、申しわけないですけれども、いま一度、安倍政権が待機児解消をしているときの待機児の定義をもう一回きちんと答えていただきたいと思います。
△成田政府参考人:
待機児童でございますが、保育所等を申込みされた方から、実際にその保育所等を利用されている方などを除いた方になりますけれども、いろいろと取扱いが自治体で異なっていた、今お話のありました育児休業中の方などの取扱いが自治体によって異なっていたということもございまして、昨年度に統一的な考え方をお示しして、例えば、育児休業中の方については、入園できたときに復職されることを確認をするといったようなことを統一するように自治体にお示ししたところでございます。
▼大河原まさこ:
今のお答えの中に、隠れ待機児童と言われるその部分は解消されたと考えていいんですか。今、全国統一はしたけれども、隠れ待機児という人たちは、やはりカウントされませんよね。
△成田政府参考人:
今申し上げました育児休業中の方、あるいは求職活動をしておられる方、あるいは特定の保育園等を希望されておられる方などについての考え方をお示ししたものでございます。
▼大河原まさこ:
このルールで調査を今年から始めるんですね。それは、去年はまだしていないと思うので、この4月からということでしょうか。
△成田政府参考人:
29年4月の状況について調査をいたしましたときには、新しい考え方でやっていただいている自治体と、それから従来の考え方でやっていただいている自治体が、経過措置ということで混在する形になっております。
▼大河原まさこ:
そうすると、2018年の待機児童の数は、いつの調査で、どういうふうな形で出てくるんでしょうか。
△成田政府参考人:
例年ですと、4月1日の状況についてお伺いをいたしまして、九月ごろに大体公表させていただいているというのが通例でございます。
▼大河原まさこ:
待機児解消でいろいろ加速化プランとかやってきていますけれども、なかなか解消されていないということは、今現在の需要予測に私は少し誤りがあるんじゃないのかなと。保育利用者の推計方法からきちんと見直してプランを立てるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
△大沼大臣政務官:
子育て安心プランによる必要な保育の受皿32万人分につきましては、先ほども申し上げましたように、25歳から44歳までの女性の就業率が毎年おおむね1ポイントずつ上昇し、2022年度末までに8割まで上昇すること、その上昇率と勘案して、保育の利用申込率もゼロ歳から5歳全体で見て五割を超える水準まで伸びることを想定して、必要な整備量をマクロベースで推計したものでございます。
この推計方法について、潜在的な保育ニーズが含まれていないとの指摘もございますが、就業率と相関して、利用する率ではなく、利用申込率をもとに推計しているところでございまして、潜在的ニーズにつきましては、それぞれ子育て安心プランに基づいて保育コンシェルジュを活用しながらより積極的に取り組むように、市町村内の保育提供区域ごとに保育の利用意向を適切に把握し、それを反映した受皿整備が進むように支援してまいりたいというふうに思っております。
▼大河原まさこ:
一昨年、政府は、この待機児解消に関する緊急対策を発表いたしました。国基準を上回る安全基準で運営している保育園等に対して、国基準まで保育の質を落として臨時的な受入れ増加を訴えたということだと思います。
この国基準を上回って頑張ってやってきた自治体に、国基準まで引き下げる、それでも緊急に受入れをやらせろというのは、私は、今まで申し上げた子供や親やその周辺の方たちのこれまで積み上げてこられているものを無にする、そういう政府の姿勢であろうというふうに思いました。
ところで、この政府からの要請に対して、このことを実施した自治体はどのぐらいあったんでしょうか。
△大沼大臣政務官:
委員御指摘のとおり、平成28年3月の緊急対策では、国の定める基準を上回る人員配置基準や面積基準を設定している市区町村において、国の基準を活用して一人でも多くの児童を受け入れていただくよう市区町村に対して要請したところでございます。
平成28年10月時点の調査によりますと、この緊急対策の要請以降に国の人員配置基準を上回る部分を活用して子供の受入れを実施した自治体はないと承知しております。これは、保育の質の低下への懸念など、各自治体が地域の実情を踏まえて判断した結果と受けとめております。
▼大河原まさこ:
つまり、安倍総理が訴えたこと、緊急にとにかく受皿を増やしてほしいから自治体は頑張ってほしい、これまで積み上げてきたものと関係なく今の現状に合わせろという、このことに応えた自治体はゼロだったということですよね。そのことを聞いて、さすがに自治体の皆さんは頑張ってやってこられただけある、本当の仕事をこれからするに当たって、政府の見方はやはり受け入れられていない、その証左だと思います。
次に、保育園の保育士さんたちの働き方というのは本当に重労働です。政府は、保育士さん不足ということもあって、重労働の解消とかいろいろなこともありますが、保育人材の確保にあたっては、潜在保育士70万人の方々の掘り起こしが、時間的にも早く、そして御本人たちのキャリアを積み上げていくというところでも非常に重要だと思っています。
政府もこれを進めていらっしゃるわけですが、この70万人の有資格者の方たちの掘り起こしというのは、どんなふうに進んでいるんでしょうか。
△成田政府参考人:
待機児童の解消のためには、御指摘のとおり、保育の受皿の拡大とそれを支える保育人材の確保が不可欠でございます。このため、保育人材の確保に向けて、政権交代後、合計10%を超える処遇改善を実現するとともに、これに加えて、技能、経験に応じた月額最大4万円の処遇改善を行ったほか、新規の資格取得、就業継続、離職者の再就職といった支援に総合的に取り組んでいるところでございます。
御指摘の、保育士資格を持ちながら保育士として就業していらっしゃらない、いわゆる潜在保育士の方々に対する再就職支援につきましては、都道府県等が設置する保育士・保育所支援センターが実施しているところでございます。センターは、平成25年4月時点で11都府県に12カ所設置されておりましたが、平成29年四月時点では44都道府県に59カ所設置されており、全国的に取組が広がっているところでございます。
平成29年度予算では、このセンターにおいてマッチング支援を行うコーディネーターの追加配置を行い、国としてもセンターの体制強化に取り組んでおり、引き続き保育人材の確保に努めてまいりたいと考えております。
▼大河原まさこ:
都道府県は、地方版の子ども・子育て会議を条例で設置することができます。当該の会議においては、地方公共団体における子ども・子育て支援に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関して必要事項及び当該施策の実施状況について調査審議することとされています。
地方版の子ども・子育て会議の設置状況と活動状況を伺いたいと思います。
△小野田政府参考人
子ども・子育て支援法第77条に基づきまして、各都道府県は、子ども・子育て支援施策の総合的かつ計画的な推進に必要な事項及び当該施策の実施状況等の調査審議を行うため、合議制の機関として、いわゆる地方版子ども・子育て会議を設置するよう努めることとされてございます。都道府県におきましては、47都道府県の全てにおいて子ども・子育て会議が設置されてございます。
また、平成29年度における活動状況につきましては、都道府県子ども・子育て支援事業支援計画や子育て支援に関する事業の実施状況等について調査審議いただいていると承知してございます。
▼大河原まさこ
先日、私どもは野党で審議はすることができませんでした子ども・子育て支援法、この一部改正の法律では、都道府県は、待機児童解消等の取組を支援するために、関係市町村との協議会を組織できることになっています。この組織が、今ほど伺った地方版子ども・子育て会議と役割が重複することはないんでしょうか。
△大沼大臣政務官:
現行の都道府県子ども・子育て会議では、保育に限らず、社会的養育、児童虐待防止、一人親家庭等の自立支援、障害児政策も含め、広く都道府県の子ども・子育て支援施策の方針等を審議することとされています。
一方で、改正子ども・子育て支援法に盛り込んでおりますこの協議会につきましては、都道府県が市区町村の待機児童解消の取組を支援することに特化して協議を行うこととしているところでございます。
このため、子ども・子育て支援に係る多くの関係団体や学識経験者が構成員となっております都道府県子ども・子育て会議とは異なり、この協議会では、当事者であります関係市区町村が必ず参加することとした上で、待機児童の解消の施策について、主に実務者レベルで協議するものと考えております。
また、恒久的な措置として本則に規定しております都道府県子ども・子育て会議とは異なり、この協議会は、経過的な規定として附則に位置づけているところでございます。
このように、この協議会は、趣旨や協議内容が都道府県子ども・子育て会議とは異なるものであり、都道府県と市区町村がより一層連携して、待機児童解消に向けた取組を実施するために役立つものと考えております。
▼大河原まさこ:
次に、地域子ども・子育て支援事業の中の、放課後児童クラブ、いわゆる学童クラブのことがございます。放課後児童健全育成事業の整備とか運営に関する基準というものが策定されたことについて、これも地域の子供、児童施設の設置というのはばらばらなものがあります。この点についても、これまではもちろん、地域の事情に応じてでよいというふうにされてきているわけですけれども、国としての一律の基準は必要だと私は認識しておりまして、超党派の、公的責任における放課後児童クラブ抜本的拡充を目指す議員連盟というのにも入っております。この中にもたくさん先生方は御加入だと思いますが、この点を、国としての一律の基準を必要とするという認識について、政府のお考えを伺いたいと思います。
△大沼大臣政務官:
お尋ねの放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準につきましては、平成27年度から、子ども・子育て支援新制度の施行に合わせまして、国としても、それまでガイドラインとして位置づけられてきたものを、新たに国として一律の基準を省令で定め、それに基づいて市町村が条例で基準を定めることとされたものであります。
厚生労働省といたしましては、委員御指摘のとおり、一定の基準が必要との認識で行ったものでございます。
この基準につきまして、従うべき基準として、放課後児童支援員の資格要件、また人数要件、参酌基準としては、設備基準、自己評価等を規定しているところでございまして、市町村は、条例で定める基準を最低基準として、常にその基準を向上するように努めるものとされております。
▼大河原まさこ:
昨年の12月29日に、平成29年の地方からの提案等に関する対応方針が閣議決定されていますが、地方三団体、全国知事会・市長会・町村会の方々から、この閣議決定を受けて、特に、放課後児童クラブの従うべき基準の参酌基準化の基本、方向性が示されたこと、ここなどで一定の前進が見られたという評価が出ているんです。
これについて、私は非常に危機感を持っています。これまで一生懸命やってこられた自治体が、国を頼ってこれを緩和していくのではないかと思いますけれども、子供の安全性の確保とか一定の質の担保を、きちんと地域の実情を踏まえて柔軟に対応ができるよう、参酌化すると言っているのですが、議論は、地方分権の場において検討するとなっているんです、厚生労働省の中でやるわけではなくて。このことは、子供の安全性の確保の、一定の質の担保、一体どう考えているのか。また、地方からこの提案は何件上がってきているんでしょうか。
例えば、2017年3月31日に、大分県の宇佐市の宇佐こども園、学童保育中の子供たちが襲われた事件などがありますけれども、一人で複数の子供の安全性を、しかも、動きの速い子供たちです、確保することというのは大変難しいことです。不可能と思います。
したがって、設備運営基準で定める職員の資格とか職員の数とかについて、その基準を参酌化できるというふうには到底思えません。この点についてお答えいただきたい。
△大沼大臣政務官:
御指摘の子供の安全性の確保等の一定の質の担保につきまして、厚生労働省といたしましては、児童が安心して過ごせるよう、安全性を確保することはもとより、適切な遊び及び生活の場を与え、健全な育成を図ることが前提であるということを示したものであると考えているところでございます。
御指摘の、従うべき基準に関する参酌化に関する御提案につきましては、地方自治体側からの要請もございまして、まさに子供の安全性の一定の質の担保を行いつつ、登録児童数が少ない場合、地域の人口が少ない場合等の、地域の特性によっては継続的に放課後児童クラブの運営が難しいという状態が地方で生じていることもありますから、地方分権の議論の場で検討をしているところでございます。
厚生労働省といたしましては、現在行っております放課後児童対策に関する専門委員会での放課後児童クラブの量の拡充、質の確保、役割とメニューの充実など、今後の対策についての議論もしっかりと踏まえた上で、引き続き地方分権の議論の場での検討に適切に対応してまいりたいと考えております。
▼大河原まさこ:
放課後児童支援員には、子供の発達過程についての理解とか、子供とかかわる際に不可欠な倫理観、こういったものを持って、事業の対象となる子供が必要とする期間、児童クラブに通い続けることを支える、こういう本当に必要な資質、知識、技能というのが必要だと思います。
それで、保育士や学校教諭と同様の基礎知識を備えていることはもちろんですけれども、さらに、障害のある子供たち、特に配慮を必要とする子供もいます。生活困窮や保護者の病気、障害、養育困難、一人親家庭、本当に就労の両立が難しい中から、子供の不登校問題、虐待、DV、本当に子供が発達、大きくなってくるに従って、そのあらわれ方も違ってきます。ですから、専門職として、専門機関との連携も求められる、そういう専門的な内容を理解できる人が前提になると思います。
でも、29年の地方からの提案等に関する対応方針では、現在実施されている認定資格研修の科目、受講科目を、子育て支援員研修修了者及び児童厚生員研修修了者について重複する科目を一部免除することについて検討と書いてあります。これでは、専門職としての知識や技能を習得できるとは思えません。設備運営基準で定める職員の資格の基準、参酌化できるものではないと考えますけれども、指導員や支援員はどこで専門職としての知識や技能を習得せよというのでしょうか、具体的にお答えをいただきたい。
また、そもそも地方の側から、この放課後児童クラブの従うべき基準について、従来から実態に合わせて柔軟な運用ができるように見直しをしていただきたいということが提案されてきたと言いますが、子供を扱うといっても、子供のいる時間だけ、あるいは大人の目があればいいんだ、あるいは子育て経験があれば指導員として雇用する、こういうふうに、地域の実情に応じて運用されてきたからこそ、その質が一定ではなかったということがあるんです。
2013年5月に厚生労働省社会保障審議会児童部会に設置された放課後児童クラブの基準に関する専門委員会において、2015年3月までの2年間をかけて検討が行われ、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準が策定されたわけです。2015年にこの制度がスタートして、経過措置、5年間ですから2019年まで、それでも、これも終わらないうちに、地域のレアケースを引き合いに出して、普遍化させて、全体の基準を廃止あるいは参酌化しようとするのは、余りにも乱暴なやり方だと思います。
現在行われている放課後児童対策に関する専門委員会では、平成29年の地方からの提案に関する対応方針を受けて、今後の議論の進め方について、参酌基準化による地方事情等を踏まえた対応等の促進は地方分権の議論の場で検討というふうにあるわけですけれども、長い時間をかけて厚生労働省が決めた基準を内閣府が変えようとするのは極めておかしなことだと再度指摘をさせていただきたいと思います。
成田参考人においでいただいているんですが、以前に、研修の実施は、昨今の子供をめぐる課題を把握し、一定のレベルを備えた支援員を養成することで、支援員の処遇改善につなげ、質を確保するというふうに答弁されておりました。
自治体は、児童クラブの運営に人手不足で支障が出ている。この指導員の不足の背景には、処遇、つまりお給料などが余りにも悪い、低いこと、こういうところもありますし、指導員の仕事についての理解が不十分じゃないかというふうに思います。
これで対応を検討するに当たって、必要に応じた、関係する審議会等の意見を十分に考慮して検討していただきたいというふうに思いますけれども、内閣府として、関係府省の審議会の議論を排除するなどということがあってはなりません。放課後児童対策に関する専門委員会の議論も踏まえて、長年にわたって子供の最善の利益を願って学童保育を改善してきた保護者の意見が十分に反映させられるという認識で確認をしたいと思うんですが、いかがでしょうか。済みませんが、参考人ですね、これは。最初の指導員のところの政務官と、参考人に伺ってよろしいでしょうか。
△大沼政務官
まず、放課後児童支援員の研修についてお答え申し上げます。
放課後クラブに従事する児童支援員として職務を遂行する上で、委員御指摘のように、必要最低限の知識及び技能を習得するため、その役割や育成支援の内容等の共通の理解を得ることを目的として実施しているところでございます。
こうした研修の趣旨を踏まえ、保育士や教員などの資格取得者につきましては、この研修を義務づけている一方、資格取得の段階で既に習得されている項目については受講を免除しているところでございます。
御指摘の、子育て支援員研修の放課後児童コース受講者、また児童厚生員の資格に係る研修につきましては、放課後児童支援員研修の科目の内容と共通する部分もあることから、保育士や教員の場合と同様に、研修科目の一部免除につきましては本年度中に結論を得る方向で検討することとしております。
いずれにいたしましても、放課後児童支援員の研修というものは、指導員として勤務する上で必要な事項を習得できるように、しっかりと放課後児童支援員研修の科目の設定のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。
△大村政府参考人:
審議の方式の関係でございますけれども、提案募集方式による地方分権改革において受けました提案につきましては、全般に地方分権の議論の場において議論をし、対応方針を決定することといたしております。
その際、提案を受けられた関係府省は、対応を検討するに当たりまして、必要に応じて関係する審議会等の御意見を考慮して検討を行っていただいているものと承知をしております。
本提案につきましても、この提案を受けました厚生労働省が、関係者のさまざまな御意見を踏まえた上で議論に参画されるものと考えております。
内閣府としては、今後の検討に当たりましても、現場の実態を把握し、まさに先生御指摘のとおり、現場をよく知り、責任を持っている地方公共団体の声をよく聞き、また、この事業を所管する厚生労働省と十分に連携しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
▼大河原まさこ:
放課後児童対策にかかわる専門委員会でもきちんとやってきたわけですから、積み上げた議論を崩さないように、内閣府は、関係者が重ねてきた議論に水をかけるような、行為は断じて行っていただきたくないというふうに申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。