第196回国会 2018(H30)年3月20日「農林水産委員会」一般質疑

主な質問項目
1.決裁文書の書き換え事案に関連して
2.主要農作物種子法の廃止で消えた種の公共性について
3.再生可能エネルギーについて

1.決裁文書の書き換え事案に関連して
▼大河原まさこ
財務省による決裁文書の改ざんについて、元通産官僚の齋藤大臣はどのようにごらんになっているか伺います。
△齋藤国務大臣
今回の財務省における決裁文書の書きかえ、政府全体の信頼も揺るがしかねない出来事です。私の経済産業省時代の経験で、決裁文書を書きかえるということは考えにくい出来事です。

▼大河原まさこ
もし農水省で決裁文書の書き換えなどが起こった時に、大臣はどう対処されますか。
△齋藤国務大臣
本件は極めて異例な出来事で、我が省でそういうことがあるとは私は思っておりません。
ただ、行政文書の管理の重要性は、改めて我々は肝に銘じなくてはいけない。行政文書の適切な管理については、行政の適正かつ効率的な運営を実現、国民への説明責任を全うする上で極めて重要との観点から、3月13日に、行政文書の適正な管理について、改めて省内に徹底を私から指示したところです。昨年末に改正された行政文書の管理に関するガイドラインを踏まえて、文書管理規則等を今月中に改正するための作業もあわせて行っているところであり、今後とも適正に管理をするよう努めてまいりたいと思います。

▼大河原まさこ
不祥事が起こったその省の中だけで調査をすることは問題ではないか。検証をする場合に、第三者機関が行う必要があると思いますが、大臣は、この点、いかがでしょうか。
△齋藤国務大臣
なぜこういうことが起こったのかということをしっかり究明をして、調査をして、明らかにしてほしいという国民の皆さんのそういう気持ちというのは、私も共有をしております。
現在、財務省が調査を行っており、方法について私の立場で発言は控えたいと思いますが、いずれにしても、結果として、なるほど、こういうことが起こったのかということがはっきりとわかるようにすべきであるというのが私の今の意見でございます。

▼大河原まさこ
農水省の中で、万が一にも決裁文書の改ざん等がないか調査をする御意思はありますか。
△齋藤国務大臣
財務省が、どういう経緯でそういうことが起こったのかということをしっかりと今調べているので、その結果を踏まえて、どうすべきか判断していきたい。

2.主要農作物種子法の廃止で消えた種の公共性について
▼大河原まさこ
種子法の廃止について、この種子法の供給システムは、私は本当にすぐれたものだと思っています。
種子法の廃止によって日本政府の種子に対する考え方が変わったのか変わらなかったのか、その点を伺います。
△齋藤国務大臣
稲、麦類及び大豆というのは我が国の土地利用型農業における重要な作物。その基本的資材である種子は重要な戦略物資であるという考え方は一貫して変らない。
平成28年11月に決定された農業競争力強化プログラムでも、「戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。」とされているところである。
官民の総力を挙げた稲、麦類及び大豆の種子の開発、供給体制の構築を進めることによって、農業を成長産業として、農業者の所得向上を図ってまいりたい。
種子法は、戦後の増産が必要な時期に都道府県にその生産を奨励するというのを、法律でルールを決めたわけ、今は法律によって生産を奨励まで必要ない状況という背景がある。
ただ、種子そのものの重要性は一貫して変わらないものであり、戦略的な活用は今後も重要であると考えている。

▼大河原まさこ
種子法廃止によって、都道府県の役割、種子の開発とか供給体制は変わるのか変わらないのか。
海外資本を含めて民間に最大限開放することは、余りにも危険ではないか。
△齋藤国務大臣
種子法がなくなっても種子の戦略的重要性は変わらない。
民間事業者への知見の提供は、種子の生産に関する知見については、農業競争力強化支援法の方で、第八条第四号において、民間事業者への提供を促進することにしており、その目的は、官民の総力を挙げた種子、種苗の開発、供給体制を構築することによって、我が国農業の国際競争力を強化して、農業を成長産業にするということにあります。こうした観点から、国の独立行政法人や都道府県が持つ知見の提供は、我が国農業の競争力強化に貢献するかどうかを判断して行うということになります。
このため、民間事業者が契約を結ぶ際に、民間事業者の開発等の考え方を契約の際に確認した上で適切な共同研究契約を結ぶなどの適切な措置を講ずることができるよう、国の独立行政法人及び各都道府県に対して、必要な場合には国に相談していただきたい旨の通知を行っておりまして、その周知徹底を今図っているところです。

逆に言えば、都道府県が有する種子の知的財産の提供は、これまではむしろ明確なルールはなく、都道府県がそれぞれの対応で行ってきましたが、今後は、技術的助言を踏まえて都道府県が譲渡先を限定して、違反した場合には違約金を徴収するといった効果的な契約を締結することなどによって的確な対応が行えると考えています。いわんや海外へ知的財産がどんどん流出していくということはないように、今回の措置でそれが徹底されるということです。

▼大河原まさこ
日本農業新聞に、種子法廃止に向けて、北海道では、19年度以降の新しいルールを検討するという記事が出ていました。
各自治体で種子法廃止に伴う独自の動きが出てきているということを、どのように受けとめているか。
△野中大臣政務官
主要農作物種子法によって、種子供給業務を全ての都道府県に一律に今まで義務づけていた。
当該都道府県の業務は、自治事務扱いで、独自に条例を定めてきた都道府県があるものと承知している。
種子法廃止後も、都道府県が行う種子供給業務が自治事務であるという位置づけは変わらないということから、種子法の廃止後において独自の条例を定めることについては、それぞれ都道府県の自主的な御判断によるものと考えております。

▼大河原まさこ
この間の韓国の平昌のオリンピックで話題になりました、韓国のイチゴ事件について
これは、新品種の登録がされていなかったということや、知らない間に品種が流出をしていたということだと思いますが、どうすれば新品種の流出を防ぐことができたのか。今現在ある仕組みは十分と言えるんでしょうか。
△齋藤国務大臣
この間のオリンピックでの出来事については、カーリングの選手に問題があるわけではないが、看過できず、あえて記者会見で問題提起をさせていただきました。
韓国の植物品種保護制度においてまだイチゴが対象となっていなかったとき、日本の育成者が韓国の農業者に栽培を許諾したことにより、韓国内での無断での栽培が拡大をしていったということが原因。
このような我が国の優良品種の海外流出を防ぐためには、
①植物品種の保護制度が整備をされている国では、その国で知的財産権を確保して、そして、仮に流出を発見した場合には栽培や販売の差止め請求等を行うことができるようにしていく。
②植物品種保護制度が整備されていない国に対しては、栽培を許諾しないよう育成者や農業者に周知徹底を図ること、これが重要であろうというふうに考えています。

このために、28年度補正予算から、海外で植物品種の育成者権の取得を支援するとともに、平成30年度当初予算において、侵害対応のための予算も計上している。

引き続き、これらの対策を通じて、重要な戦略物資である種子、種苗をしっかりと保護する措置を講じてまいりたいと考えていますが、とにかく農業者の皆さんがこういう問題をしっかり認識をしていただいて、疑問に思ったときはすぐ農政局等に相談をしてもらって対応を図っていくということが大事だと思いますので、そういう意味では、周知徹底を図るために、この間あえて記者会見をさせていただいたということであります。

▼大河原まさこ
新しい品種で競争力をつけ、世界から評価されるものをつくりUPOV条約等で、開発者の権利を守る一つの潮流と、FAOがつくっている国際条約等で、種は人間、人類の遺産なので公共的にどんどん使っていくという二つの潮流への見解と、日本がとっていくべきスタンスについてどのようにお考えか。
△齋藤国務大臣
遺伝資源の利用から生ずる利益がその国に帰属するとの考え(「植物の新品種の保護に関する国際条約」、UPOV条約)と、新品種の育成者の排他的権利を認めるという考え(生物多様性条約)の二つの潮流について、その二つの条約は、その目的は異なっているわけでありますけれども、例えば、途上国の天然遺伝資源を利用して品種開発を行った場合には、育成者と当該遺伝資源の提供者の契約に基づいて、両者の間で公正かつ公平な利益配分を行いながら新品種の育成者の権利を保護していくということも可能だろうと思っておりますので、御指摘の二つの条約の考え方というのは両立するのではないかというふうに考えています。

3.再生可能エネルギーについて
▼大河原まさこ
農業の立て直しについて、地域が、食べ物だけではなくてエネルギーを使って産業を進化・隆盛させる、根源的な改革が必要だと思っています。
未利用のエネルギーをたくさん、豊かに持っている第一次産業地域や賦存地域として、しっかりと地域の開発にエネルギーを大もとに据えるという考えを持っておりますけれども、今、再生可能エネルギー開発について、農水省として開発の状況と課題についてどうお考えか。
△齋藤国務大臣 まず、御指摘のように、バイオマスや水、土地等にしても、農山漁村に豊富に存在をしています。これらを活用して再生可能なエネルギーを導入促進していくことは、地域の活性化につながる取組としても重要だと考えている。農林水産省では、農山漁村再生可能エネルギー法に基づいて、地域が主体となって協議会を設立して、農林漁業の健全な発展に資する取組が盛り込まれた再生可能エネルギー発電の導入を促進をしています。
農山漁村の活性化に資する再生可能エネルギー導入を支援する補助事業を活用して21地区で発電事業を開始又は設備整備に着手をしておりまして、合わせて71地区で取組が行われています。
課題としては、農山漁村における再生可能エネルギーの導入に当たっては、地域への利益の還元がしっかりと行われなくてはいけないですとか、土地等の利用の調整もしっかりしなくてはいけないし、地域の合意形成というものもしっかりやっていかなくちゃいけない等の課題があると認識をしております。
今後とも、これらの課題に対応しつつ、再生可能エネルギーのさらなる導入というものに努めていきたいと考えております。

▼大河原まさこ
農林水産省として、この再生可能エネルギーをどのぐらい第一次産業地域でつくれるかなど、エネルギー計画が必要だと思いますが、見解を伺います。
△齋藤国務大臣
再生可能エネルギーについては、平成26年の4月に閣議でエネルギー基本計画が決定され、政府全体でその導入を積極的に推進していくとされています。
農林水産省としては、このエネルギー基本計画も踏まえて、再生可能エネルギーの導入とあわせて、先ほど来お話ありますように、地域の農林漁業の健全な発展に資する取組を同時に促進するということで、農山漁村再生可能エネルギー法の活用を今推進しており、この法律の基本方針において、農山漁村における再生可能エネルギーの導入促進の基本的な考え方を示しています。

この考え方に基づいて、例えば、地域内で森林資源を持続的に活用する地域内エコシステムの構築等、農山漁村の活性化に資する、可能ならば委員御指摘のように循環をする仕組みのもとで再生可能エネルギーの導入の促進が図れるよう、この方針のもとで努めてまいりたいと今考えているところでございます。